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インターネットの二重契約は返金できる? 消費者契約法や手続きを解説

2023年08月01日
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インターネットの二重契約は返金できる? 消費者契約法や手続きを解説

甲府市消費生活センターの2020年における消費者被害の救済件数は313件でした。

引っ越しや相続などに伴う契約ミスや解約忘れなどにより、インターネット回線を二重に契約してしまう人は多くいます。二重契約に関して通信会社とトラブルになり、返金を請求したい場合には、国民生活センターまたは弁護士に相談しましょう。

本コラムでは、インターネット回線の二重契約に関するトラブル事例や二重契約の解消・返金に関する相談窓口などについて、ベリーベスト法律事務所 甲府オフィスの弁護士が解説します。

1、インターネット回線の二重契約が問題になった消費者紛争事例

インターネット回線の二重契約については、国民生活センターのWebサイトで、紛争解決委員会によるADR(裁判外紛争解決手続)の紛争事例が紹介されています。

<事案の概要>
利用者P(すでに死亡)は、通信会社であるY社との間でインターネット回線の利用契約を締結した。

その後、Pは別の通信会社であるA社ともインターネット回線の利用契約を締結したため、Y社とA社の二重契約状態となった。
Y社のインターネット回線については、インターネット回線の利用契約が解約されないまま、回線が切断されて利用できない状態になっていた。
また、Pは、Y社から貸与を受けている回線機器を紛失した。

その後、(回線契約上の地位を相続した)Pの子であるXは、Y社の代理店から、インターネット回線の利用契約のプランについて、プランAからプランBに変更してみてはいかがかという内容の電話勧誘を受け、プランAからプランBへの変更を申し込んだ。
なお、プランBは、「回線機器が2台から1台になる」「長期間使用すると段階的に料金が安くなる」などのメリットがある反面、契約期間内に解約すると3万円の解約金が発生するというものだった。

その後、Xは、上記プラン変更の手続を進めていくに当たって、上記二重契約状態になっていたこと等を知るに至った。

Xは、Y社の代理店に上記二重契約状態になっていたこと等を相談したところ、利用できない状態であるY社のインターネット回線を復旧するためには工事費2万3000円が必要であるとの説明を受けた。そして、A社の回線契約の解約料を合わせると、約4万円の支出が生じることが判明した。

そのため、Xは、A社との回線契約を継続し、Y社との回線契約を解約することにした。
しかし、Y社に解約の旨を伝えると、Y社は、Xに対し、解約金3万円とそれに対する消費税、及び、紛失した回線機器の代金を請求した。

回線が切断されて利用できないにもかかわらず、解約金を請求されることは納得できないとして、Xは、国民生活センターのADRを申し立てた。


<ADRの経過と結果>
Y社は、解約金等について代理店の説明不足があったと述べた上で、解決の方向性を以下のとおり提案した。
  • インターネット回線の利用契約のプランの変更がなかったものとして、解約金3万円は請求しない
  • インターネット回線の利用契約のプランの変更がなかったものとすると、インターネット回線の利用契約のプランの変更により生じた差額は、本来Xが負担する必要があるが、当該差額は、Y社の代理店が負担する
  • Pが紛失した回線機器の代金のみ請求する

Xは上記の提案を了承して、各当事者間で和解が成立した。


上記の事案は、二重契約のうち一方の解消を試みた際に、通信会社から請求された解約金等の支払いの要否が問題になったものです。

この事案で争われた解約金の額は3万円(+消費税)と少額であったことや、通信会社が一定の解決案を提示したことから、比較的スムーズに和解が成立したと考えられます。
二重契約に関する具体的な事情によっては、本事案よりもはるかに高額の解約金等が問題となる場合もあります
その場合には、消費生活センターや弁護士などの窓口に、速やかに相談しましょう。

2、インターネット回線の二重契約の解消・返金に関する相談窓口

インターネット回線の二重契約の解消や返金については、消費生活センターや弁護士に相談することができます。

  1. (1)消費生活センター

    全国の消費生活センターでは、消費者契約に関するトラブル全般の相談を受け付けています。
    個人(事業者を除く)が事業者と締結した契約に関するトラブルについては、幅広く消費生活センターに相談することができます。

    消費者ホットライン(188)に電話をかけて、案内にしたがって番号を入力すれば、最寄りの消費生活センターなどの相談窓口につながります。
    電話がつながらない場合は、国民生活センターの平日バックアップ相談も利用することができます(平日の10時から12時、13時から16時。土日祝日と年末年始を除く)。

    消費生活センターに相談すると、消費者トラブルの解決方法についてアドバイスを受けられます。
    また、国民生活センターのADR(裁判外紛争解決手続)の利用方法についても案内してもらえます。

  2. (2)弁護士

    インターネット回線の二重契約を含む消費者トラブルについては、弁護士に相談することも検討してください。

    弁護士は法律の専門家であり、主に紛争解決に関する業務を取り扱っています。
    インターネット回線の二重契約の解約や返金請求についても、弁護士に依頼することができます

    消費者生活センターは、地域によっては事業者との簡単な交渉をしてくれるセンターもありますが、あくまでも消費者に対して一般的な情報提供を行うに過ぎないセンターもあります。他方で、弁護士に依頼すれば、消費者の代理人として、訴訟提起やより複雑な内容の交渉等の具体的な対応をしてもらうことができます。
    通信会社に対する解約申し入れや返金請求を専門家に一任したい場合には、弁護士に相談しましょう。

3、悪徳業者に対しては、消費者契約法に基づく取り消し・無効を主張できる

インターネット回線の契約について不適切な勧誘を受けた場合や、消費者にとって一方的に不利益な契約条項が含まれている場合には、消費者契約法に基づいて、回線契約の取り消しや契約条項の無効を主張できる可能性があります。

  1. (1)消費者契約法に基づく契約取り消しの要件

    消費者契約法に基づき、インターネット回線の契約を取り消すことができるのは、以下のいずれかに該当する不当な勧誘が行われた場合です(消費者契約法第4条)。

    • ① 重要事実について、事実と異なることを告げた場合
    • ② 将来における変動が不確実な事項について、断定的判断を提供した場合
    • ③ 重要事実について消費者の不利益となる事実を、故意または重大な過失によって告げなかった場合
    • ④ 消費者の住居または業務を行う場所から退去を求められたにもかかわらず、退去しなかった場合
    • ⑤ 勧誘場所からの退去を希望する消費者を退去させなかった場合
    • ⑥ 任意に退去することが困難な場所へ消費者を同行して勧誘した場合
    • ⑦ 契約を締結するか否かについて、電話などで別の者に相談したい旨の意思を示した消費者に対し、威迫する言動を交えて連絡を妨害した場合
    • ⑧ 進学・就職・結婚・生計・容姿・体型などについて、消費者の不安をあおるような勧誘がなされた場合
    • ⑨ 消費者の恋愛感情に付け込むような勧誘がなされた場合
    • ⑩ 加齢または心身の故障によって判断能力が著しく低下した消費者に対して、現在の生活の維持について不安をあおるような勧誘がなされた場合
    • ⑪ 霊感など合理的に実証することが困難な特別な能力を根拠に、消費者の不安をあおるような勧誘がなされた場合
    • ⑫ 契約締結前にサービスを提供し、または契約の目的物の現状を変更し、原状回復を困難にした場合
    • ⑬ 契約締結前にサービスを提供し、契約を締結しなければ損失補償を請求すると告げた場合
  2. (2)消費者契約法に基づき無効となる契約条項

    以下のいずれかに該当する消費者契約の条項は、消費者契約法に基づき無効となります(同法第8条~第10条)。

    • ① 事業者の損害賠償責任の全部を免除する条項(または、事業者に損害賠償責任の有無の決定権限を付与する条項)
    • ② 事業者の故意または重大な過失による損害賠償責任の一部を免除する条項(または、事業者に損害賠償責任の限度の決定権限を付与する条項)
    • ③ 事業者の損害賠償責任の一部を免除する条項であって、当該条項が事業者等の重大な過失を除く過失行為にのみ適用されることを明らかにしていないもの
    • ④ 消費者の解除権を放棄させる条項(または、事業者に当該解除権の有無の決定権限を付与する条項)
    • ⑤ 消費者が支払う損害賠償の額を予定する(または違約金を定める)条項(平均的な損害額等を超える部分に限る)
    • ⑥ 法令中の任意規定に比して、消費者の権利を制限しまたは義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するもの

4、インターネット回線の二重契約に関する返金請求は弁護士に相談を

インターネット回線の二重契約を解約する際には、契約に定められた手続きにしたがうことが原則です。
ただし、消費者契約法に基づく取り消しなどが認められる場合には、契約外の方法によって解約できる場合もあります

二重契約の解約や、それに伴う解約金請求書への対応・返金請求などを行う場合には、法的な観点から検討することが必要になります。
通信会社が返金に難色を示した場合などには、対応について、弁護士にアドバイスを求めましょう

インターネット回線の二重契約に関するトラブルは、お早めに弁護士へご相談ください。

5、まとめ

光回線や、回線をインターネットとつなげるプロバイダの契約については、二重契約状態になっていることが多々あります。
そして、二重契約を解消する際には、通信会社との間でトラブルが発生する場合もあります。
もしトラブルになった場合には、消費生活センターや弁護士に相談しましょう。

ベリーベスト法律事務所は、消費者被害に関するご相談を受け付けております。
インターネットに関する消費者トラブルにお悩みの方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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