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過失割合10対0だとどうなる? 損しない示談交渉の進め方

2022年07月28日
  • その他
  • 過失割合
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過失割合10対0だとどうなる? 損しない示談交渉の進め方

山梨県警察のデータによると、2021年中に山梨県内で発生した交通事故件数は2093件で、前年比53件の減少となりました。そのうち、死者が発生したのは31件で、計32人が死亡しています。

交通事故の損害賠償の金額を計算するに当たっては、「過失割合」が重要になります。たとえば、いずれか一方の事故車両だけに責任がある場合、過失割合は「10対0」です。

過失割合10対0の交通事故では、被害者側にとって注意すべきポイントが存在します。それ以外の交通事故に比べて、弁護士によるサポートが重要になりますので、お早めにご相談ください。今回は、過失割合10対0の交通事故につき、該当する事故例や被害者が注意すべきポイントなどを、ベリーベスト法律事務所 甲府オフィスの弁護士が解説します。

出典:「県内における交通死亡事故等発生状況」(山梨県警察)

1、交通事故の「過失割合」とは

交通事故の「過失割合」は、損害賠償の金額を大きく左右します。
まずは「過失割合」とは何かについて、基本的なポイントを確認しておきましょう。

  1. (1)過失割合=どちらにどれだけの責任があるかを示す割合

    「過失割合」とは、不法行為責任が問題となる当事者間において、どちらにどれだけの責任があるかを示す割合です(民法第722条第2項)。

    交通事故の損害賠償責任は不法行為に基づくため、過失割合が問題になります。たとえば、どちらか一方にすべての責任がある場合、過失割合は「10対0」です。

    これに対して、お互いにある程度の注意義務違反が認められる場合には、その程度に応じて、過失割合が「9対1」「8対2」「7対3」「6対4」「5対5」などとなります。また、交渉では、過失割合を「9対0」「8対0」などで合意することもあります。

  2. (2)過失割合によって損害賠償の金額が変わる

    不法行為に基づく損害賠償の金額は、過失割合を考慮して定めるのが実務の通例となっています(民法第722条第2項)。

    たとえば、AとBが運転する車同士が衝突し、Aに100万円、Bに200万円の損害が発生したとします。

    この場合、A・Bそれぞれに発生した損害はAとBの過失割合に応じて分担します。

    仮にAとBの過失割合が「10対0」であれば、AがBの損害全額を負担します。また、AはAの損害についてBに負担を要求することはできません。

    一方、AとBの過失割合が「8対2」であれば、AはAの損害についてBに2割(20万円)の負担を要求することができ、逆にBはBの損害についてAに8割(160万円)の負担を要求することができます。

    もっとも、お互いにお金を支払い合うのは迂遠ですから、実務上はお互いのプラスとマイナスを相殺して、最終的に過失割合の多い者が少ない者に相殺後の損害賠償額を支払うことで解決を図っています。上記AとBの過失割合が「8対2」の場合には、AがBに対して支払うべき160万円から、Bの負担額20万円を差し引いて、残額の140万円をAがBに支払うということになります。

    このように、過失割合が変化した場合、当事者間で精算されるべき損害賠償の金額が大きく上下する可能性があるのです

  3. (3)過失割合の決め方・決定基準

    過失割合は原則として、交通事故の当事者間における示談交渉によって決定します。
    もし示談交渉がまとまらない場合には、ADR・調停・訴訟などの手続きを通じて決めることになります。

    過失割合を決める際に、実務上参考とされているのが「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(いわゆる「緑の本」)です。事故類型ごとの基本過失割合や、個別の事情に応じて修正要素などがまとめられています。

    一般的には、緑の本の類型・修正要素に応じた過失割合をベースとしつつ、当事者双方が事故状況に関する認識の相違を巡って主張を戦わせることになるでしょう。

2、過失割合が「10対0」になるケースの例

過失割合が「10対0」となるのは、交通事故の当事者のうち、一方だけに100%の責任があり、もう一方には全く責任がないと評価できる場合です。

たとえば以下に挙げるケースでは、原則として過失割合が10対0と判断されます。

  1. (1)四輪車同士の交通事故で過失割合が10対0となるケース

    交通事故の当事者がいずれも四輪車(自動車)の場合、過失割合が10対0となるケースとしては、以下の例が挙げられます。

    ① 追突事故(緑の本ケース157)
    路肩や駐車スペースにおいて、または信号待ちで停車中の被害車両に、加害車両が追突した場合には、原則として過失割合が10対0となります。

    ② センターラインオーバーによる衝突事故(緑の本ケース150)
    加害車両がセンターラインを越えて、対向車線を走行する被害車両と衝突した場合、原則として過失割合が10対0となります。

    ③ 赤信号無視による衝突事故(緑の本ケース98)
    加害車両が赤信号を無視して交差点に進入し、青信号で走行中の被害車両と衝突した場合、原則として過失割合が10対0となります。
  2. (2)四輪車・自転車の交通事故で過失割合が10対0となるケース

    交通事故の当事者のうち、一方が四輪車(自動車)でもう一方が自転車の場合、過失割合が10対0となるケースとしては、以下の例が挙げられます。

    ① 追い越し時の巻き込み衝突(緑の本ケース290)
    交差点の手前30m以内で前を走る自転車を加害車両が追い越しつつ左折する際、自転車を巻き込む形で衝突した場合、原則として過失割合が10対0となります。

    ② センターラインオーバーによる衝突事故(緑の本ケース304)
    四輪車同士の交通事故のケースと同様です。

    ③ 赤信号無視による衝突事故(緑の本ケース235)
    四輪車同士の交通事故のケースと同様です。
  3. (3)四輪車・歩行者の交通事故で過失割合が10対0となるケース

    交通事故の当事者のうち、一方が四輪車(自動車)でもう一方が歩行者の場合、過失割合が10対0となるケースとしては、以下の例が挙げられます。

    ① 横断歩道を通行中の衝突(緑の本ケース1又は20)
    信号なし、または青信号で横断歩道を通行中の歩行者に加害車両が衝突した場合、原則として過失割合が10対0となります。

    ② 歩道を通行中の衝突(緑の本ケース39)
    歩道を通行中の歩行者に加害車両が車道から侵入してきて衝突した場合、原則として過失割合が10対0となります。

    ③ 道路の右側を通行中の歩行者との衝突(緑の本ケース38)
    歩車道の区別がない道路において、徐行していない加害車両が通行中の歩行者に衝突した場合、原則として過失割合が10対0となります。

3、過失割合が10対0の場合に、被害者側が注意すべきポイント

過失割合が10対0の交通事故では、被害者は自分の損害全額の賠償を加害者に請求できるため、被害者としては懸念すべき点がないように思われます。

しかし実際には、被害者は以下の2点に留意したうえで、慎重に対応しなければなりません。

  1. (1)任意保険会社に示談交渉の代行を依頼できない

    過失割合が10対0の交通事故では、被害者は自分が加入している任意保険会社に示談交渉を代行してもらうことができない点に注意が必要です

    被害者には過失がないことに伴い、任意保険会社は保険金の支払義務を負いません。そのため、任意保険会社にとって示談交渉の代行は、自らが当事者ではない法律事件の代理に当たり、弁護士法第72条に基づき禁止されているのです。

    したがって、過失割合が10対0の場合、被害者は自ら加害者側と示談交渉を行うか、弁護士を代理人として示談交渉を行う必要があります。

  2. (2)加害者側から修正要素を主張される可能性がある

    事故類型に応じた基本過失割合が10対0であっても、加害者側から過失割合の修正要素を主張される可能性があります。

    修正要素とは、事故類型に反映されていないものの、交通事故の過失割合の決定に当たって考慮すべき要素のことです。

    代表的な修正要素としては、以下の例が挙げられます。

    • ウインカーで合図をしていなかった(+)
    • 大型車だった(+)
    • 見通しがきく交差点だった(+)
    • 徐行しなかった(+)
    • 右折禁止違反(右折車について+)
    • 大回り右折、早回り右折、直近右折(右折車について+)
    • 既右折(右折車について-)
    • 夜間(+)
    • 著しい過失、重過失(+)
    • シートベルト未着用(+)
    など


    修正要素が認められれば、過失割合は「10対0」ではなく、「9対1」、「8対2」などに修正されてしまうおそれがあります。
    もし加害者側に修正要素を主張された場合、被害者としては、修正要素に該当しないと説得的に反論することが大切です。

4、過失割合が10対0の交通事故に遭った場合、弁護士にご相談を

過失割合10対0といえども、被害者が適正な金額の損害賠償を受けるには、発生した損害を漏れなく把握・算定することが大切です

また、加害者側から修正要素を主張された場合には、過失割合10対0を維持するため、適切に反論しなければなりません。

弁護士にご相談いただければ、交通事故状況を示す客観的な資料や、過去の裁判例などを根拠として、被害者に生じた損害を最大限回復できるようにサポートいたします。
過失割合10対0の交通事故に巻き込まれてしまったら、お早めに弁護士までご相談ください。

5、まとめ

被害者側に全く過失がなく、過失割合10対0であることが想定される場合でも、示談交渉に当たって注意すべきポイントはたくさんあります。特に、損害額を漏れなく把握・計算することや、加害者側による修正要素の主張に対して適切に反論することが重要です

ベリーベスト法律事務所では、人身事故・物損事故を問わず、交通事故に関するご相談を随時受け付けております。被害者が受けた損害をできる限り回復すべく、適正な賠償金の獲得に向けて尽力いたします。

交通事故の被害に遭ってしまった方は、お早めにベリーベスト法律事務所 甲府オフィスへご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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