解雇理由証明書はなぜ必要なのか|請求方法や注意点

2025年12月24日
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解雇理由証明書はなぜ必要なのか|請求方法や注意点

山梨労働局の統計情報によれば、令和6年度の「解雇・雇止め」に関する相談は265件にのぼります。このように、会社との解雇トラブルは珍しいことではありません。

その中には、会社から解雇予告を受けたものの、伝えられた解雇理由に納得がいかないケースもあるでしょう。このような場合は、会社に対して「解雇理由証明書」を請求するという手段があります。その内容によって不当解雇と判断される場合、解雇が無効となるかもしれません。

本コラムでは、解雇理由証明書どのような書類なのか、なぜ必要となるのかについて、ベリーベスト法律事務所 甲府オフィスの弁護士が解説します。


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1、解雇理由証明書はなぜ必要なのか

労働者が会社から解雇予告を受けた際に、なぜ解雇理由証明書が必要になるのでしょうか?

ここでは、解雇理由証明書の概要や解雇予告通知書との違い、この証明書が必要になる理由について解説していきます。

  1. (1)そもそも解雇理由証明書とはなにか

    解雇理由証明書とは、会社が労働者を解雇する理由が記載された証明書です。会社は労働者から請求があれば必ず発行しなければなりません(労働基準法22条1項)。
    解雇理由として記載されるのは、一般的に以下のような内容です。

    • 天災などやむを得ない理由
    • 事業縮小など会社の都合
    • 職務命令に対する重大な違反行為
    • 業務についての不正行為
    • 勤務態度や勤務成績の不良


    具体的な理由が記載されるため、解雇を言い渡された場合は、まず解雇理由証明書を請求するといいでしょう。

  2. (2)解雇理由証明書と解雇予告通知書との違い

    解雇理由証明書とは別に、「解雇予告通知書」という書類もあります。名前は似ていますが異なる目的をもちます。

    解雇予告通知書は、会社が解雇を予告したことを労働者に通知する書類です。解雇を行う際は、原則として30日前に解雇予告をしなければならないため、解雇予告の事実を証拠として残すために交付される場合があります。解雇予告通知書には、解雇理由の記載は義務付けられていません。

    一方、解雇理由証明書は、解雇に至った理由を記載した書類です。解雇予告通知書を受け取ったとしても、解雇理由が不明瞭な場合は別途解雇理由証明書を請求するようにしましょう。

  3. (3)解雇理由証明書が必要な理由

    解雇を言い渡された労働者にとって解雇理由証明書が必要な理由は、主に以下の2つです。

    • 解雇の理由を明確にするため
    • 不当解雇かどうかを判断するため


    解雇を言い渡された理由が不明確な場合、労働者は正当な理由による解雇かどうかがわかりません。解雇理由証明書によって解雇理由が具体的に示されれば、解雇の正当性を判断できるようになります。

    また、解雇理由証明書は法的な観点からも重要な意味を持ちます。労働契約法16条では、解雇が有効となるためには「客観的に合理的な理由」があり、労働者に解雇という処分をすることが「社会通念上相当」であることが必要とされています。たとえば、会社の経営が著しく悪化している場合や、労働者に重大な規則違反があった場合などが該当します。
    解雇理由証明書は、これらの要件が満たされているかを判断する際の重要な証拠となります。

    さらに、会社との交渉や訴訟に発展した場合に、会社側が当初と異なる解雇理由を持ち出すことがあります。解雇理由証明書に記載されていない、新たな理由の追加は、懲戒解雇の場合には、原則として認められませんし、普通解雇の場合であっても、裁判所に解雇の正当性を疑わせる事情として評価されることがあります。

2、会社に解雇理由証明書を請求する方法

会社から解雇を言い渡されたときは、解雇理由証明書の発行を請求しましょう。解雇理由証明書の一般的な請求方法は、以下のとおりです。

  1. (1)口頭で請求する

    会社が書式を定めていない場合は、まず口頭で解雇理由証明書の発行を求めましょう。解雇理由証明書は、解雇を予告された日から請求可能です(労働基準法22条1項)。

    直属の上司や人事部に「解雇理由証明書を発行してください」と依頼すれば、多くの場合は手続を進めてもらえます。

  2. (2)会社からもらえない場合は内容証明で請求する

    口頭での請求に応じてもらえない場合や口頭での請求が難しい場合は、内容証明郵便を利用して書面による請求を進めましょう。内容証明郵便とは、送付した書類の内容・差出人・送付先・送付日を郵便局が証明するサービスです。

    従業員が会社に対して解雇理由証明書を請求した場合、会社に遅滞なく発行する義務があります(労働基準法22条1項)。会社側が請求に応じない場合でも、法的根拠にもとづいて請求が可能です。

    解雇理由証明書を請求した事実を証拠として残すためにも、書面で請求する場合は内容証明郵便の利用をおすすめします。

  3. (3)不明確な内容だった場合は、具体的に記載するように再度請求する

    解雇理由証明書に記載された解雇理由が曖昧だったり具体性に欠けたりする場合は、再度請求しましょう。解雇理由が具体的に明記されていなければ、正当な解雇であるかを判断できないためです。
    不明確な内容のままにしておくと、後々の交渉や手続で十分な主張ができない可能性があります。

    会社に対して具体的な解雇理由が記載された証明書の発行を請求し、拒まれるようであれば弁護士への相談も検討してみてください。

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3、解雇理由証明書について従業員が注意すべき点

解雇理由証明書を請求する際には、従業員として注意すべき重要なポイントがあります。後々のトラブルを防ぐためにも、以下の注意点を押さえておきましょう。

  1. (1)退職後は退職証明書を請求する

    会社から予告なしに解雇された場合など、解雇理由証明書を請求する前すでに会社から退職の扱いとされている場合はどうすればいいのでしょうか。

    退職日以降は、元従業員から会社に対して、退職したことを証明する「退職証明書」を請求することができます(労働基準法22条1項)。
    退職証明書には主に、以下の項目の記載を求めることが可能です。

    • 雇用期間
    • 業務内容
    • 役職
    • 賃金
    • 退職の事由(解雇の場合はその理由を含む)


    退職証明書には解雇の理由を含むその他の事項も記載がされますので、退職後には退職証明書を請求するようにしましょう。退職証明書は退職日から2年経過すると請求できなくなってしまうため、早めの請求が必要です(労働基準法115条)。

  2. (2)解雇理由証明書をなくしてしまった場合は再度請求できる

    もし解雇理由証明書をなくしてしまった場合でも、会社に再発行を請求できます。解雇理由証明書を請求できる回数に制限は定められていないためです。
    初回の請求時と同様に、会社は従業員からの解雇理由証明書の請求に応じる義務があります。

    紛失や再就職先への提出などによって手元にない場合は、退職日から2年の期限が経過する前に再請求しましょう。

  3. (3)【退職の意思がない場合】解雇・退職に合意したとみなされないようにする

    退職の意思がない場合は、解雇理由証明書の請求によって「解雇・退職に合意した」とみなされないよう注意が必要です。
    不当解雇で争うときは、解雇理由証明書は証拠の書類として利用できます。会社に請求する際には「解雇に同意したわけではありません」と明確に伝えるようにしてください。

    もし解雇理由証明書を発行してもらえない場合は、退職願や退職届にはサインせず今まで通り出勤しましょう。会社側とトラブルになるようであれば、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

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4、不当解雇でお困りの方は弁護士に相談を

会社から不当解雇されて困っており、解雇理由証明書の請求などを検討されている場合は、弁護士にご相談ください。特に会社との交渉が難航している場合には、弁護士のアドバイスやサポートが有効です。

以下では、弁護士に相談するメリットを具体的に解説していきます。

  1. (1)代理人として会社との交渉や書類の開示請求が行える

    弁護士は代理人として会社と交渉し、書類の開示請求を行えます。

    解雇理由証明書が発行されない場合や内容が不十分な場合に、労働者個人での交渉が難航するケースがあります。このような場合に弁護士が間に入ることで、会社が迅速に対応してくれる可能性が高まるでしょう。

    また、弁護士を代理人とすることで、精神的な負担を軽減しながら問題解決を目指せるメリットがあります。

  2. (2)不当解雇かどうかを法的に判断できる

    会社が従業員を解雇するには、正当な理由が必要です。弁護士は、解雇が法的に正当か不当かを判断できます。

    解雇理由証明書に記載された理由が妥当かどうかは、労働者本人だけでは判断が難しいケースもあるでしょう。弁護士は関係法令や判例に関する知識をもつため、解雇の正当性について適正な判断が可能です。

    また、もし不当解雇であった場合には具体的な対策を提案し、適切な補償や救済を受けられるようサポートできます。

  3. (3)労働審判や裁判などに発展した際にもサポートできる

    弁護士は、解雇の問題が労働審判や裁判に発展した場合にもサポートが可能です。

    会社との交渉が決裂した場合、労働審判を申し立てるか訴訟を提起して問題解決を目指します。労働審判と訴訟は、どちらも裁判所を通じて行う手続です。

    専門的な知識が必要となる場面も多いため、裁判手続に移行する際は弁護士に相談するのが望ましいです。弁護士であれば、証拠集めや書面作成・裁判所への出廷など総合的にサポートできます。

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5、まとめ

解雇理由証明書は、解雇を予告された従業員が自身の権利を守るために重要な役割をもつ書類です。具体的な解雇理由の確認や、不当解雇の判断などに活用できます。

会社から解雇を言い渡された場合は、早めに解雇理由証明書の発行を請求しましょう。

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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています