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非接触の事故でもひき逃げになる? 警察が来たらどうしたらいいのか

2023年04月24日
  • 交通事故・交通違反
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非接触の事故でもひき逃げになる? 警察が来たらどうしたらいいのか

令和4年(2022年)に山梨県で発生した交通事故による負傷者は2516人でした。中には、車に衝突していなくても間接的にケガを負った事故もあったでしょう。

実際に歩行者・自転車などと接触していなくても、車の運転が原因で相手がケガをした場合には、交通事故の責任を問われる可能性があります。特に、「ぶつかっていないから」という理由で相手の救護を怠ると、重い罪に問われるおそれがあるので注意が必要です。

今回は、非接触であってもひき逃げとして処罰されるケースについて、成立する犯罪・刑事手続きの流れなどをベリーベスト法律事務所 甲府オフィスの弁護士が解説します。

出典:「交通事故発生状況(令和3年中)」(山梨県警察)

1、非接触でもひき逃げになる場合がある

加害者として交通事故(人身事故)の責任を負うケースの典型例は、運転していた車が被害者の車両や身体に接触し、ケガを負わせたケースです。

しかし、被害者の車両や身体への接触は、交通事故の法的責任の発生に必須とはされていません。非接触であっても、交通事故の法的責任を負う場合があります

たとえば交通事故の民事責任は、「不法行為の要件」を満たす場合に発生します。不法行為について民法第709条は、「故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定めています。

被害者の車両や身体への接触がなくても、運転について何らかの過失があり、それが原因で被害者がケガをしたと評価される場合には、不法行為に基づく損害賠償責任が発生する可能性があります。

刑事責任も同様に、非接触であっても発生することがあります。

過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法※第5条)は、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた」場合に成立します。
※正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

被害者への接触は要件とされておらず、非接触でも運転に関する注意義務違反が認められれば、過失運転致死傷罪により処罰される可能性があります。

また、道路交通法上の救護義務違反(道路交通法第72条1項前段)も、非接触事故において問題になるケースが多いです。

救護義務は「交通事故があったとき」に発生しますが、やはり接触があったことは要件とされていません。したがって、非接触であっても相手が負傷している場合には、相手を救護する義務が発生します。救護義務違反は犯罪であり、道路交通法の規定に基づく処罰の対象です。

このように非接触であっても、交通事故について民事・刑事上の責任を負う可能性があることに十分ご注意ください。

2、非接触でもひき逃げになり得るケースの例

たとえば以下のようなケースでは、非接触でもひき逃げとして取り扱われ、民事・刑事上の責任を負う可能性があります。

  • 急ブレーキに相手が驚いて転倒した場合
  • 相手が「大丈夫」と言ったため、事故を警察に報告しなかった場合


  1. (1)急ブレーキに相手が驚いて転倒した場合

    車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、車両等を急に停止させ、またはその速度を急激に減ずるような急ブレーキをかけてはなりません(道路交通法第24条)。

    したがって、不必要な急ブレーキをかける行為には、それ自体に運転者の過失が認められます。もし急ブレーキに相手が驚いて転倒し、その結果相手がケガをした場合には、非接触であっても、急ブレーキをかけた運転者が相手に対して損害賠償責任を負います。

    また、運転者として払うべき注意を怠って急ブレーキの禁止に違反し、その結果として相手にケガをさせている点で、過失運転致死傷罪によって処罰される可能性があります。

    さらに、相手を救護せずに事故現場から走り去った場合は、道路交通法上の救護義務違反に該当する可能性もあるので注意が必要です。

  2. (2)相手が「大丈夫」と言ったため、事故を警察に報告しなかった場合

    非接触の交通事故では、その時点では相手がケガに気づかず、「大丈夫」と言って去ってしまうことがあります。この場合、交通事故の発生を警察に報告しないケースも非常に多いです。

    しかし、後日相手がケガの発生に気づき、損害賠償請求や刑事告訴を行う可能性があります。そうなると、民事上の損害賠償責任や、過失運転致死傷罪、救護義務違反、報告義務違反(道路交通法第72条1項後段)などの責任を問われるおそれがあるので要注意です。

    交通事故が発生した場合において、相手の救護が必要かどうかは、運転者自身では本来判断できない事柄です。そのため非接触であっても、交通事故に発展する可能性がある場合には、救護義務を果たしたことを証明できるように、必ず警察への報告を行いましょう。

3、ひき逃げについて成立する犯罪と刑事手続きの流れ

前述のとおり、非接触事故についても、ひき逃げとして刑事責任を問われる可能性があります。

ひき逃げについて成立する犯罪と、在宅捜査の場合・逮捕された場合の各刑事手続きの流れを解説します。

  1. (1)ひき逃げについて成立する犯罪

    ひき逃げについて成立する主な犯罪は、「過失運転致死傷罪」と「救護義務違反」です。

    ① 過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法第5条)
    自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合に成立します。

    過失運転致死傷罪の法定刑は「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」です。被害者の傷害が軽い場合には、情状によって刑が免除されることがあります。

    なお、アルコールや薬物の影響下で自動車を運転していた場合は、さらに重い罪によって処罰されます(危険運転致死傷罪・過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪。同法第2条~第4条)。

    ② 救護義務違反(道路交通法第72条1項前段)
    交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員が、直ちに車両等の運転を停止して負傷者を救護し、道路における危険を防止するなど必要な措置を講じなかった場合は、救護義務違反に該当します。

    救護義務違反の法定刑は「5年以下の懲役または50万円以下の罰金」です(同法第117条第1項)。ただし、被害者の死傷が自らの運転に起因する場合には、「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」と刑が加重されます(同条第2項)。
  2. (2)在宅捜査の刑事手続きの流れ

    ひき逃げについて、運転者が逮捕されずに在宅で捜査が進められる場合、刑事手続きの流れは以下のとおりです。

    ① 任意の取り調べ
    警察から運転者に対して、任意の取り調べの要請が行われます。取り調べに応じる義務はなく、供述を拒否することも可能です(黙秘権)。
    ただし、被疑事実が真実である場合には、罪を認めて反省の意を示すと、重い刑事処分を回避できる可能性が高まります。

    ② 起訴・不起訴
    検察官が運転者を起訴するかどうかを判断します。
    被害者のケガが軽く、交通事故の態様が悪質とは言えない場合には、検察官の判断で不起訴(起訴猶予)となるケースも多いです。

    ③ 公判手続き
    運転者が起訴された場合、裁判所の公判手続きで有罪・無罪および量刑が判断されます。

    公判手続きは、検察官が犯罪事実を立証し、被告人である運転者がそれに反論する形で進行します。運転者としては、被疑事実を否認して無罪を主張することも、罪を認めて情状酌量を求めることもできます。

    審理が熟した段階で、裁判所は判決を言い渡します。

    ④ 刑の確定・執行
    公判手続きの判決に対しては、上級裁判所への控訴・上告が認められています。控訴・上告の手続きを経て、判決が確定します。

    有罪判決が確定した場合には、その内容にしたがって刑が執行されます。ただし、犯罪事実が軽微な場合には、執行猶予が付されるケースも多いです。
  3. (3)逮捕された場合の刑事手続きの流れ

    被害者を死亡させ、交通事故の態様が悪質である場合などには、運転者が逮捕されることもあります。

    運転者が逮捕された場合の刑事手続きの流れは、大まかに以下のとおりです。

    ① 逮捕~勾留請求
    逮捕期間は最長72時間で、その間に警察官・検察官による取り調べが行われます。検察官は、被疑者を引き続き身柄拘束すべきと判断した場合、裁判官に対して勾留請求を行います。

    ② 起訴前勾留
    裁判官によって勾留状が発せられた場合、逮捕から起訴前勾留へと移行します。起訴前勾留の期間は当初10日間、延長された場合は最長20日間です。
    起訴前勾留期間中も、逮捕期間に引き続き、警察官・検察官による取り調べが行われます。

    ③ 起訴・不起訴
    在宅捜査の場合と同様に、検察官が被疑者を起訴するかどうか判断します。

    ④ 起訴後勾留
    被疑者が起訴された場合、起訴前勾留から起訴後勾留に切り替わり、引き続き身柄が拘束されます。起訴後勾留の期間は当初2か月間で、1か月ごとに延長が認められています。
    起訴後勾留期間中は、裁判所に対する保釈請求が可能です。

    ⑤ 公判手続き~刑の確定・執行
    在宅捜査の場合と同様に、公判手続きを通じて判決が言い渡され、控訴・上告を経て確定し、執行されます。

4、非接触事故で重い処罰を避けるためには弁護士にご相談を

非接触事故であっても、過失運転致死傷罪や救護義務違反を疑われると、有罪判決を受けて前科が付く可能性があります。特に被害者が死亡した場合には、懲役・禁錮の実刑を含む重い刑罰を受けることになりかねません。

非接触事故について、過剰に重い処罰を避けるためには、弁護士への相談をおすすめします。弁護士は、不起訴に向けた弁護活動や公判手続きの準備・対応などを通じて、依頼者を刑事手続きから1日も早く解放できるようにサポートします

非接触事故に当事者となった方は、お早めに弁護士までご相談ください。

5、まとめ

ベリーベスト法律事務所は、交通事故のトラブルに関するご相談を随時受け付けております。加害者となってしまった方の刑事弁護に加えて、損害賠償請求を受けた場合の対応(慰謝料額・過失割合に関する示談交渉など)についてもご依頼いただけます。

非接触事故の法的責任を問われてしまった方は、すぐにベリーベスト法律事務所へご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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