盗撮で現行犯逮捕される? 後日逮捕される可能性やきっかけや証拠

2025年11月19日
  • 性・風俗事件
  • 盗撮
  • 現行犯逮捕
盗撮で現行犯逮捕される? 後日逮捕される可能性やきっかけや証拠

令和5年に甲府市内で発生した刑法犯罪は1013件で、そのうち検挙されたものは377件でした。

駅や電車内などで盗撮をすると、その場で現行犯逮捕されてしまうおそれがあります。また、現行犯逮捕はされなかったとしても、後日逮捕されるケースもあります。

本記事では、盗撮によって現行犯逮捕される可能性や、盗撮について成立する犯罪、盗撮で逮捕された場合の刑事手続の流れなどを、ベリーベスト法律事務所 甲府オフィスの弁護士が解説します。

出典:「令和6年版甲府市統計書」(甲府市)


刑事弁護・少年事件を弁護士に相談 刑事弁護・少年事件を弁護士に相談

1、盗撮で現行犯逮捕される可能性はある?

盗撮をした人は、犯行現場において現行犯逮捕されることがあります。実際にカメラを構えているところを押さえられると、現行犯逮捕されてしまう可能性が高いでしょう。

また、現行犯逮捕されなかったとしても、後日逮捕されてしまうこともあり得ます。

  1. (1)現行犯逮捕の要件

    現行犯逮捕とは、現行犯人を逮捕することをいいます(刑事訴訟法第213条)。
    通常の逮捕とは異なり、現行犯逮捕に逮捕状は必要ありません。また現行犯逮捕は、警察官などに限らず誰でも行うことができます。

    「現行犯人」とは、以下のいずれかに該当する者をいいます(刑事訴訟法第212条)。

    現行犯人の2つの要件
    ① 罪を犯している、または罪を犯し終わった者
    ② 以下のいずれかに該当し、罪を犯し終わってから間がないと明らかに認められる者
    (a)犯人として追跡されている
    (b)贓物(盗品)または明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器(凶器)その他の物を所持している
    (c)身体または被服に犯罪の顕著な証拠がある
    (d)誰何されて(誰なのか確認されて)逃走しようとした

    盗撮については、たとえば以下のような形で現行犯逮捕が行われます

    (例)
    • カメラを構えて盗撮しているところを取り押さえられた。
    • 盗撮に用いたカメラを所持した状態で、盗撮犯だと呼び止められているところを取り押さえられた。
    • 盗撮の被害者が大きな声を上げたので、その場から逃げ出そうとしたところを取り押さえられた。
    など
  2. (2)現行犯逮捕されなくても、後日逮捕されることもある

    盗撮をしたその場では現行犯逮捕されなかったとしても、後日に通常逮捕されることも十分あり得ます。

    通常逮捕は、逮捕状に基づいて行われる逮捕です(刑事訴訟法第199条第1項)。被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり、かつ逮捕の必要性が認められる場合には、警察官または検察官等の請求によって裁判官が逮捕状を発します。

    盗撮についても、残された証拠から被疑者が犯人である可能性が高いと認められる場合には、後日、通常逮捕されるおそれがあります。

  3. (3)盗撮によって後日に逮捕されてしまうきっかけ

    盗撮に関しては、以下のようなきっかけで後日に逮捕されてしまうケースがよくあります

    (例)
    • 目撃者の証言から、盗撮犯である可能性が高いと判断された
    • 防犯カメラ映像に、盗撮をしている場面が映っていた
    など

    現行犯逮捕されなかったとしても、このようなきっかけで逮捕されてしまう可能性があります。

2、盗撮について成立する罪と罰則

盗撮については、以下に挙げる犯罪などが成立します。

  1. (1)性的姿態等撮影罪など

    正当な理由がないのに、以下に挙げる他人の姿態等をひそかに撮影した者は「性的姿態等撮影罪」によって処罰されます(性的姿態撮影等処罰法第2条)。

    性的姿態等撮影罪のおそれがある撮影内容
    • 性的な部位
    • わいせつな行為または性交等がされている間の姿態

    性的姿態等撮影罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」です。

    また、盗撮した画像や映像の提供・陳列・保管・送信については、以下の犯罪が成立します

    ① 性的影像記録提供等罪(同法第3条)
    • 対象行為:盗撮した画像や映像の第三者に対する提供、または公然陳列
    • 法定刑:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
    ※不特定多数の者に対する提供または公然陳列をした場合は「5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金」が科され、または拘禁刑と罰金が併科されます。

    ② 性的影像記録保管罪(同法第4条)
    • 対象行為:盗撮した画像や映像の提供または公然陳列を目的とする保管
    • 法定刑:2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金
    ③ 性的姿態等影像送信(同法第5条)
    • 対象行為:盗撮した画像や映像の不特定多数の者に対する送信
    • 法定刑:5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金または拘禁刑と罰金の併科
  2. (2)迷惑防止条例違反

    各都道府県が定める迷惑防止条例では、盗撮行為が犯罪として処罰の対象とされています

    たとえば東京都の迷惑防止条例では、盗撮をした者は「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」に処されます(同条例第5条第1項第2号、第8条第2項第1号)。

  3. (3)児童ポルノ禁止法違反

    盗撮の被害者が18歳未満である場合は、児童ポルノ禁止法違反によって処罰されることもあり得ます。

    児童が性的な行為をしている姿や、児童が衣服の全部または一部を身に着けずに性的な部位が露出または強調されている姿を撮影した写真やデータは「児童ポルノ」に当たります(児童ポルノ禁止法第2条第3項)。

    自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者は「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」に処されます(同法第7条第1項)。

    また、児童ポルノを他人に提供した者は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」に処されます(同条第2項)。

    さらに、児童ポルノの不特定多数の者に対する提供または公然陳列をした者は「5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金」に処され、または拘禁刑と罰金が併科されます(同条6項)。

  4. (4)建造物等侵入罪(刑法第130条前段)

    駅やホテルなどの建物内で盗撮をした場合は、施設管理者の意に反して建物に侵入したと評価され、建造物等侵入罪によって処罰される可能性があります。

    建造物等侵入罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金」です。

まずはお気軽に
お問い合わせください。
電話でのお問い合わせ
【通話無料】平日9:30~21:00/土日祝9:30~18:00
メールでのお問い合わせ
営業時間外はメールでお問い合わせください。

3、盗撮で逮捕された後の流れ

盗撮で逮捕されてしまった場合に、刑事事件の手続がどのような流れで進むのかを解説します。

  1. (1)逮捕~起訴前勾留

    逮捕された被疑者の身柄は、留置場において拘束されます。逮捕中の被疑者は、警察官や検察官の取調べを受けます。

    逮捕の期間は最長72時間ですが、検察官が引き続き被疑者の身柄を拘束すべきと判断したときは、裁判官に対して勾留を請求します。

    住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれのうちいずれかが認められ、かつ勾留の必要性があると認めた場合、裁判官は勾留状を発付し、逮捕から起訴前勾留へと移行します。

    起訴前勾留の期間は最長20日間で、被疑者は引き続き取調べを受けることになります

  2. (2)公判請求・略式起訴・不起訴

    原則として起訴前勾留の期間が満了するまでに、検察官は被疑者を起訴するかどうか判断します。

    盗撮については、検察官は以下のいずれかから被疑者に対する処分を選択します

    • 公判請求:公開の刑事裁判を通じて、被疑者(被告人)に刑罰を与えることを求めます。
    • 略式起訴:簡易裁判所の略式手続きによって、被疑者(被告人)に刑罰を与えることを求めます。100万円以下の罰金または科料を求刑する場合で、被疑者に異議がない場合に限り認められています。
    • 不起訴:被疑者に刑罰を与えることを求めず、刑事手続を終了させます。

    不起訴の場合、被疑者は直ちに釈放されます。略式起訴の場合は、罰金等を納めた時点で釈放されます。

  3. (3)起訴後勾留~公判手続

    公判請求された被疑者の呼称は「被告人」へと変わり、起訴後勾留に移行して引き続き身柄が拘束されます

    起訴後勾留の期間中は、弁護人とともに公判手続に向けた準備を整えます。
    なお、起訴後勾留中は保釈請求が可能です。保釈が認められれば、被告人の身柄は一時的に解放されます。

    公判手続では、検察官が犯罪事実を立証します。起訴された犯罪の構成要件(犯罪の成立に必要な要件)が立証された場合に限り、裁判所は有罪判決を言い渡します。

    被告人としては、罪を認めて情状酌量を求めるか、または罪を否認して争うことになります。

  4. (4)判決~刑の確定および執行

    公判手続の審理が尽くされた段階で、裁判所は判決を言い渡します

    第一審判決に対しては控訴、控訴審判決に対しては上告による不服申立てが認められています。控訴・上告の期間は、判決が言い渡された日から14日間です。

    有罪判決が確定した場合は、原則として刑が執行されます。ただし、執行猶予が付された場合には、刑の執行が一定期間猶予されます。

4、盗撮をしてしまったら、弁護士に相談を

弁護士は、盗撮をしてしまった方のために、以下のようなサポートを行っています

  • 自首のサポート
  • 逮捕直後からの面会
  • 取調べに関するアドバイス
  • 被害者との示談交渉
  • 早期釈放に向けた弁護活動
  • 不起訴処分を目指した弁護活動
  • 保釈請求
  • 公判手続における弁護活動
など

出来心から盗撮をしてしまったら、逮捕や重い刑事処分への対応として、速やかに弁護士へ相談しましょう。

まずはお気軽に
お問い合わせください。
電話でのお問い合わせ
【通話無料】平日9:30~21:00/土日祝9:30~18:00
メールでのお問い合わせ
営業時間外はメールでお問い合わせください。

5、まとめ

盗撮をしてしまうと、その場で現行犯逮捕される可能性が高いです。また、現行犯逮捕されなかったとしても、後日逮捕されてしまう可能性は十分考えられます。

盗撮による逮捕や重い処罰を回避するためには、できるだけ早く、弁護に相談することが重要です。盗撮をしてしまったら、まずは速やかにベリーベスト法律事務所 甲府オフィスへご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています