家宅捜索とは? 家宅捜査との違いや行われる理由など
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									令和6年12月、山梨県内のコンビニエンスストアで起きた強盗事件について、県内に住む男2人が強盗容疑で逮捕されました。警察は被疑者の自宅を捜索し、盗んだ一部商品を押収しました。
							
							テレビやネットニュースでは、こちらの事件のように被疑者の自宅で捜索を行うことを「家宅捜索」と呼ぶことがあります。捜査員が、段ボール箱に証拠品を入れて持ち出すシーンが取り上げられることもあるため、どのような手続きであるかイメージできる方も多いかもしれません。
							
							ところで、家宅捜索と似た言葉に「家宅捜査」がありますが、違いがあるのか知りたい方もいるでしょう。当コラムでは、家宅捜索と家宅捜査の違いや、家宅捜索が行われる理由、家宅捜索の流れなどについて、ベリーベスト法律事務所 甲府オフィスの弁護士が解説します。																										
 
			 
			
			1、家宅捜索と家宅捜査の違いとは?
刑事についてのニュースでは、「家宅捜索」という言葉が用いられているのを見たことがあるかもしれません。家宅捜索と似た言葉に「家宅捜査」がありますが、どのような違いがあるのか、以下で詳しくみていきましょう。
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									(1)「捜索」と「捜査」「捜索」は、犯罪の証拠物の収集を目的として、被疑者の自宅などを探す手続きです。これに対し「捜査」は、捜査機関が犯人や証拠の発見、収集、保全する手続きをいいます。 
 捜査はより広い概念であるため、捜索は捜査の手段のひとつに含まれています。
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									(2)家宅捜索と家宅捜査は、法律上の「捜索」に該当する一方で、テレビやネットニュースでは、被疑者の自宅に立ち入り、犯罪の証拠を探すことをよく「家宅捜索」もしくは「家宅捜査」と表現します。ニュースではどちらの表現もありますが、「家宅捜索」と「家宅捜査」は、同じ内容を指す言葉で、法律上はどちらも「捜索」に該当します。 
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									(3)「捜索」と「差し押さえ」家宅捜索は、犯罪の証拠を探すことを目的とした手続きのため、実際に証拠が見つかった場合には、それを確保する必要があります。この発見した証拠を確保する手続きを「差し押さえ」といいます。ニュースなどでは、捜索と差し押さえをまとめて「家宅捜索」と表現することもありますが、法律的には2つの手続きが含まれています。 
 捜索や差し押さえは、裁判官が発する「捜索差押許可状」に基づき実施されます。
2、家宅捜索を受けた場合にはどうなる? 流れや注意点
家宅捜索は、事件の発生後、いくつかの手続きを踏んで行われます。家宅捜索までの簡単な流れと、家宅捜索の対象となった場合に知っておくべきポイントについて説明します。
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									(1)家宅捜索の簡単な流れ家宅捜索は、一般的に以下のような流れで行われます。 - ① 事件の発生
- ② 警察による捜査の開始(内偵捜査)
- ③ 裁判官に捜索差押許可状の発付を請求
- ④ 裁判官が捜索差押許可状を発付
- ⑤ 警察が自宅を訪れ、家宅捜索を実施
- ⑥ 証拠物の押収
 
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									(2)予告なく警察が自宅にくる家宅捜索の目的は、犯罪の証拠を確保することです。被疑者が事前に家宅捜索の通知を受けられる状態では、被疑者は犯罪の証拠を捨てたり、手放したりして、処分することができてしまいます。そのため、家宅捜索が実施されるときには、予告なく警察が対象者の自宅を訪問することになります。 
 
 家宅捜索を受ける立場からすると、突然警察官が自宅を訪ねてくることで、動揺してしまうかもしれません。しかし、まずは状況を冷静に把握することが大切です。警察官が捜索差押許可状を読み上げるため、その内容をよく聞くようにしましょう。捜索差押許可状には、捜索・差し押さえの範囲が記載されています。警察により、不当な家宅捜索が行われていないかどうかをチェックするためにも、捜索差押許可状の内容の確認が重要です。
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									(3)家宅捜索は拒否できない捜索差押許可状に基づく家宅捜索は、強制捜査の一種であるため、拒否することはできません。 
 家宅捜索をされたくないからといって、警察官の腕や服を引っ張る、警察官の前に立ちふさがるといった抵抗をすると、公務執行妨害罪の現行犯として逮捕されてしまうリスクもあります。家宅捜索を受けることになった際は、応じるようにしてください。
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									(4)差し押さえられた物は返却されないケースもある家宅捜索により差し押さえられた押収物は、捜査が終了したタイミングまたは処分が確定したタイミングで返還されます。 
 ただし、所有者が所有権を放棄した物や、覚せい剤・大麻などの没収の対象となる物については返還されることはありません。
お問い合わせください。
3、家宅捜索が行われる理由や条件
捜査機関が家宅捜索を行うためには、裁判官が発付する捜索差押許可状が必要になります。捜索差押許可状が発布されるのは、以下のような条件を満たす場合です。
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									(1)特定の犯罪をした疑いがあることまず、被疑者が特定の犯罪をした疑いがあることが挙げられます。 
 犯罪の嫌疑は、客観的な証拠に基づいて立証されなければならず、単に疑わしいからという理由だけでは、捜索差押許可状の発付はなされません。
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									(2)証拠物が捜索場所に存在する可能性が高いこと次に、証拠物が捜索場所に存在する可能性が高いことが挙げられます。 
 これは、犯罪と無関係な捜索・差し押さえを防止するために設けられた要件です。被疑者に犯罪の嫌疑があったとしても、その場所に証拠物が存在する可能性がなければ、家宅捜索が実施されることはありません。
 
 ただし、家宅捜索を実施しなければ、証拠物の有無は判断できません。そのため、証拠物が存在する確証までは必要なく、存在する具体的な疑いがあることが条件とされます。
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									(3)証拠物を捜索差し押さえる必要性・相当性があること次に、証拠物を捜索し、差し押さえをする必要性と相当性が認められることが挙げられます。 
 事件と全く関係のないものを差し押さえることはできません。
 
 また、差し押さえにより、被疑者に著しい不利益を与えるような場合には、相当性を欠くため、家宅捜索は認められません。
4、家宅捜索について弁護士がサポートできる3つのこと
家宅捜索されることが心配な方や、すでに家宅捜索を受けた方は、早めに弁護士に相談するようにしましょう。以下では弁護士に相談するメリットをご紹介します。
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									(1)家宅捜索の違法性を判断できる家宅捜索は、原則として裁判官の発付する捜索差押許可状により行われます。しかし、実際の家宅捜索には裁判官は立ち会わず、捜査官によって行われます。そのため、事案によっては、捜索差押許可状による認められた範囲を超えて、家宅捜索が行われるケースもあります。 
 このようなケースは違法ですが、知識や経験がない方では、捜査官による家宅捜索が違法かどうかを判断することは困難でしょう。
 
 そのため、家宅捜索を受けたときは、すぐに弁護士に相談して、家宅捜索の違法性を判断してもらうことをおすすめします。
 違法な家宅捜索がなされた場合、弁護士から捜査機関に対して抗議をすることで、その後の違法捜査の抑止につながるでしょう。
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									(2)自首に同行し、不必要に逮捕されないようサポートできるまだ家宅捜索を受けていないものの、今後、家宅捜索を受けて逮捕されることを回避したいとお考えの際は、警察に自首することも有効な手段となります。自首をすることで、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを示し、逮捕を回避できる可能性があります。 
 
 また、法律上の厳密な「自首」は捜査機関に犯人や犯罪事実が発覚する前に行われる必要があります。そのため、家宅捜索を受けてから警察に出頭することは、法律上の「自首」には該当しません。しかし、家宅捜索を受けた後でも、自分から事情を話すことは、処分結果を軽くできる可能性はあります。
 
 そのため、自首や警察への出頭を検討している方は、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。
 
 弁護士は、そもそも自首をすべきであるかどうかの判断も可能です。また、自首をするときには、弁護士が同行することで、警察に必要な情報を適切に共有できます。自首後の対応のサポートもできるため、不必要な逮捕を回避できる可能性が高まるでしょう。
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									(3)押収品をもとに弁護活動を行うことができるすでに家宅捜索が実施された場合、押収された証拠物は、押収品リストに掲載されます。押収品リストを確認すれば、捜査機関がどのような物を差し押さえたのかを知ることができます。それにより、捜査の方針などをある程度推認することが可能です。 
 
 家宅捜索後、すぐに弁護士に相談をすれば、捜査機関の方針を踏まえて適切な弁護活動を行うことができます。これにより、逮捕や起訴を回避できる可能性が高まります。
お問い合わせください。
5、まとめ
								家宅捜索と家宅捜査は、いずれも法律上の「捜索」を指す言葉で、基本的には同じ意味の言葉です。
								
								家宅捜索を受けた場合、後日逮捕される可能性があります。逮捕・勾留されてしまうと、最長で23日間にも及ぶ身柄拘束を受けることになり、肉体的・精神的負担は非常に大きなものとなるでしょう。不必要な逮捕を回避するためにも、家宅捜索を受けたら、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
								
								弁護士であれば、家宅捜索に違法性がなかったどうかの判断も可能です。家宅捜索についてお困りの方は、一刻も早くベリーベスト法律事務所 甲府オフィスまでご相談ください。
							
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
 
			 
						 
						
