1年後でも後日逮捕される? 後日逮捕された際の流れやリスクを解説

2025年02月18日
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1年後でも後日逮捕される? 後日逮捕された際の流れやリスクを解説

山梨県警察が公表している「山梨の犯罪~令和5年中の概況~」によれば、令和5年に刑法などの法律に違反し罪を犯した人の検挙数は、前年より2割以上増えています。さらに、令和5年の山梨県における容疑者の検挙率は、全国で4番目に増加しているそうです。山梨県内においては、罪を犯した人が特定される可能性が高まっていると考えられます。

犯罪を行っているところを、その場で警察などに確認された場合は、現行犯として逮捕される可能性が高いです。では、犯行中は捜査の目を逃れ、犯罪から1年以上経過した場合に逮捕されることはあるのでしょうか。

この記事では、罪を犯してから時間が経過した場合に、後日逮捕される可能性や、後日逮捕された場合のリスク、逮捕後の流れなどについて、ベリーベスト法律事務所 甲府オフィスの弁護士がわかりやすく解説していきます。


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1、1年後に後日逮捕される可能性は?

何らかの罪を犯し、その場で逮捕(現行犯逮捕)されなくても、時間が経過してから逮捕される可能性はあるのでしょうか。

  1. (1)現行犯逮捕と後日(通常)逮捕の違い

    そもそも現行犯逮捕とは、現に罪を犯したことが認められる者を逮捕することで、警察ではない私人でも行うことができます(刑事訴訟法第213条)。万引きや盗撮事件では、犯罪行為を実際に目撃した人によって現行犯逮捕されるケースは十分にありえるでしょう。

    現行犯逮捕に対し、あとから逮捕されることは、後日逮捕(通常逮捕)と呼ばれます。後日逮捕は、警察官や検察官からなる捜査機関が裁判官に逮捕状を請求し、逮捕状が発行された後、罪を犯した疑いのある者(被疑者)に逮捕状を示して身柄を拘束することを指します。

    犯罪から1年以上経過しても後日逮捕される可能性はあります。犯罪の被害者が後日被害届を出す場合もあり、証拠が見つかれば時間が経過しても逮捕されることは十分にありえるでしょう。

  2. (2)公訴時効後は逮捕されない

    刑事事件には時効があり、検察官が裁判所に対し、被疑者の有罪を求められる期限を「公訴時効」と呼びます。たとえば万引きなどの窃盗罪の場合、公訴時効は7年と規定されています。
    公訴時効が過ぎれば刑罰を受けることはありませんが、公訴時効直前に逮捕された場合は、通常どおり刑罰を受けることになります。

2、1年後に後日逮捕されるとどうなる?

犯罪行為をして後日逮捕されると、検察官によって公訴提起(起訴)される可能性があります。また、起訴された場合には、高い確率で有罪判決を受けることになるでしょう。日本の刑事裁判の有罪率は、99.9%とされており、起訴されて裁判となれば、無罪判決を勝ち取ることは至難の業です。

刑事裁判で有罪判決を受けると、懲役・禁錮などの身体の自由を制限される刑罰や、罰金などが科されます。さらに、過去に有罪判決を受けた記録となる「前科」もついてしまい、以下のような不利益を受けることになります

  • 検察庁や警察に前科記録が残る
  • 再犯で逮捕された場合、その罪に対して定めた懲役・禁固刑の期間の二倍以下の刑罰が科される(刑法第57条)
  • 会社員の場合、就業規則の懲戒事由に該当すれば会社から処分がなされる可能性がある
  • 就職活動・転職活動の際に前科を隠すと、経歴詐称として内定取り消しなどのリスクがある
  • 弁護士、医師などの特定の職業に就くことができなくなる可能性がある


会社は、就業規則において「犯罪を行い刑に処せられたときに懲戒解雇とする」といった内容を定めていることもあるため、何らかのペナルティーを受ける可能性はあるでしょう。また、友人知人や職場に前科のことが発覚すれば、社会的な信用を失うリスクにもなります。

3、後日逮捕された際の流れ

犯罪行為により後日逮捕されたら、次のような流れで手続きが進みます。

なお、逮捕は罪を犯した疑いのある者(被疑者)が住所不定、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるときなどに認められるもので、要件に該当しなければ逮捕されずに在宅で捜査が進むことになります。

  1. (1)逮捕・送致

    逮捕されると、まず警察官による取り調べがあり、供述などをまとめた供述調書が作成されます。警察官の取り調べは逮捕から48時間以内に行われ、その後被疑者の身柄は検察官に引き渡されます(送致)。

    なお、一定の基準に合致する比較的軽微な犯罪で、警察の取り調べの結果、送致の必要がないと判断された際には、警察署での逮捕だけで捜査を終了する、微罪処分として釈放されます。微罪処分になると、前科はつかず、元のように社会生活を送ることができます。

  2. (2)勾留、勾留延長

    検察官は、被疑者の身柄を受け取った時から24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に、被疑者を釈放するか、裁判所に勾留請求をするかを判断します。

    勾留請求が認められた場合は、さらに10日間にわたって身柄の拘束が続きます。そのうえで、捜査のため必要がある場合には、さらに10日を上限として勾留が延長されます。

  3. (3)起訴

    被疑者が勾留されている間に、検察官は起訴・不起訴を判断します。不起訴となる理由には、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予処分」といったものがあります。

    起訴された場合は、被疑者は「被告人」と呼ばれるようになり、起訴後勾留として、引き続き身柄が拘束されます。その間は弁護士と相談しながら、刑事裁判に向けた準備を整えましょう。

    なお、起訴された後は保釈請求を行うことができます。条件を満たしており、裁判所が認めた場合は、裁判の判決が出るまで一時的に身柄が解放されます。

  4. (4)刑事裁判

    刑事裁判では、公開の法廷で弁論手続きと証拠調べ手続きなどが行われ、判決によって被告人の処遇が決定されることになります。

    被告人は、罪を認めて情状酌量を求めても、罪を否認して検察官と争うことも可能です。弁護士と相談して、どのような方針で進めるか決めましょう。

    被告人の犯行が合理的な疑問を残さない程度と判断された際には、有罪判決が言い渡されます。

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4、後日逮捕が不安な場合は、弁護士に相談を

犯行からしばらく経過したものの、後日逮捕されないかと不安がある場合は、弁護士に相談しましょう。

  1. (1)法的に最適な解決策の提示

    弁護士であれば、法的に最適な解決策を検討することが可能です。
    また、警察に自首する際は弁護士が同行することもできます。取り調べに対するアドバイスや、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを説明するなどして逮捕を回避できるようサポートします。

  2. (2)被害者との示談交渉

    被害者が存在する犯罪で逮捕された場合、被害者との示談を成立させることが非常に重要です。しかし、基本的には、加害者が被害者と直接示談交渉を進めることは難しく、弁護士を介して交渉を進める必要があります。弁護士は、犯罪の様態、被害者の状況も把握したうえで、交渉を進めることが可能です。
    示談が成立すれば、「犯罪の被害がある程度回復された」として不起訴処分となる可能性が高まります。また、起訴されたとしても、示談が成立していない状況と比べると量刑が軽くなる可能性に期待できるでしょう。

  3. (3)不起訴・減軽に向けた弁護活動

    後日逮捕されると、最大23日間にわたって身柄を拘束されます。逮捕後72時間は、外部へ連絡等することは認められませんが、弁護士であれば面会を行うことが可能です。弁護士は面会を通して状況を把握したうえで、証拠の確認、示談交渉等を実施するほか、ご家族とのやり取りもサポートします。また、検察官に対して不起訴処分を求める意見書を提出するなど、不起訴獲得に向けた弁護活動を行います。

    起訴された場合、弁護人は保釈請求を通じて被告人の身柄の解放を目指すとともに、公判では刑の減軽や執行猶予を求めていきます。

5、まとめ

犯罪行為をしてから1年後など、時間が経過していても後日逮捕される可能性はあります。逮捕されると身柄拘束を受け、起訴された場合は非常に高い確率で有罪判決を受けることになるため、できるだけ早い段階で弁護士へ相談することをおすすめします

犯罪行為をして時間が経過したものの、逮捕されるのではないかと不安な方は、刑事事件に詳しい弁護士に相談してください。ベリーベスト法律事務所 甲府オフィスには、刑事事件について経験豊富な弁護士が在籍しております。ますは、ご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています