出頭命令(出頭要請)を無視すると逮捕される? 対応方法や注意点

2024年09月30日
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出頭命令(出頭要請)を無視すると逮捕される? 対応方法や注意点

出頭命令とは、裁判所から被告人へ、指定場所まで出頭するよう命令することをいいます。また、一般的には、警察や検察といった捜査機関が被疑者を呼び出すことを、出頭命令(出頭要請)と呼ぶこともあります。

出頭命令が出された場合は、速やかに協力することが望ましいですが、もし無視したらどうなってしまうのでしょうか。また、出頭命令に応じる場合にはどのような点に注意すればよいのでしょうか。

今回は、出頭命令を無視したらどうなるか、出頭命令への対応方法と注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 甲府オフィスの弁護士が解説します。


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1、出頭命令(出頭要請)とは?

出頭命令(出頭要請)とは、どのようなものなのでしょうか。以下では、出頭命令の定義や出される理由、法的拘束力の有無について説明します。

  1. (1)出頭命令(出頭要請)の定義

    出頭命令とは、裁判所から被告人へ、指定場所まで出頭するよう求める命令のことをいいます(刑事訴訟法68条)。

    出頭要請とは、警察や検察といった捜査機関が被疑者に対して、出頭を求めることをいいます(刑事訴訟法198条)。

    このように出頭命令と出頭要請の定義は、異なっていますが、実際には捜査機関からの出頭要請のことを「出頭命令」と呼ぶことも多いです。正確な定義とはズレてしましますが、本コラムでも一般的な呼び方に従って、捜査機関からの出頭要請のことを「出頭命令」と表現します。

  2. (2)出頭命令が出される理由

    捜査機関から出頭命令が出されるのは、主に以下のような理由がある場合です。

    1. ① 被疑者として事情聴取をしたい
      捜査機関から出頭命令が出されるのは、何らかの罪を犯した疑いがあり、被疑者として事情聴取をしたいというケースです。

      被疑者を逮捕するためには、罪を犯したと疑う相当な理由があることと逃亡または証拠隠滅のおそれがあることが要件となります。逮捕の要件を満たさないようなケースでは、出頭命令という形で事情聴取が行われることが多いです

    2. ② 参考人として捜査に協力してほしい
      出頭命令は、被疑者に対してだけではなく、目撃者や事件の関係者に対しても出されることがあります(刑事訴訟法223条)。これは、犯罪の嫌疑をかけられているわけではなく、捜査への協力を求められているだけですのでご安心ください。

      捜査機関から出頭命令があると、どうしても身構えてしまいますが、あくまでも参考人として捜査への協力を求められているだけですので、可能な範囲で対応するようにしましょう。
  3. (3)出頭命令に法的拘束力はある?

    「出頭命令」というと法的拘束力があるようにも思えますが、実際には法的拘束力はなく、任意の要請に過ぎません。そのため、捜査機関から出頭命令が出されたとしても、それに応じる義務はありません。

    しかし、被疑者に対して出頭命令が出されたということは、何らかの犯罪の嫌疑をかけられていることになりますので、出頭命令を無視し続けると、後述するような不利益が生じる可能性もありますので注意が必要です

2、出頭命令を無視するとどうなる?

捜査機関からの出頭命令を無視したらどうなるのでしょうか。以下では、出頭命令を無視したときの影響と出頭できない場合の対応について説明します。

  1. (1)無視したことによる影響

    出頭命令は、あくまでも任意の出頭要請に過ぎませんので、捜査機関からの出頭命令に応じるかどうかは、本人の自由です。

    しかし、出頭命令が出されたということは、被疑者として何らかの犯罪の嫌疑をかけられている状態になります。そのような状態で出頭を無視したら、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、逮捕に至るリスクがあります

    本来であれば在宅事件として捜査が進められるはずであった事案でも、出頭命令を無視したことで身柄拘束されてしまう可能性もあります。そのため、捜査機関から出頭命令が出たときは、基本的には応じるのが無難といえるでしょう。

  2. (2)事情があって指定日に行けない場合の対応

    捜査機関からの出頭命令は、事前の予告なくいきなり出されますので、場合によっては指定された日時に出頭できないこともあります。

    そのような場合には、捜査機関に事情を説明して、出頭する日時を変更してもらうようにしましょう。変更に応じてもらえるかどうかは、そのときの状況次第ですが、出頭する意思があることを示すことで、直ちに逮捕されるリスクを回避できるでしょう。

    何の連絡もせずに、出頭命令を無視するということだけはしないようにしてください

3、出頭命令に応じた後の流れ

出頭命令に応じる場合、どのような流れで手続きが進んでいくのでしょうか。以下では、出頭命令に応じた後の流れと注意点について説明します。

  1. (1)出頭命令に応じた場合の流れ

    捜査機関からの出頭命令に応じた場合、以下のような流れで手続きが進んでいきます。

    1. ① 警察からの出頭命令
      何らかの罪を犯した嫌疑がある被疑者に対しては、警察から電話や手紙(呼出状)などで出頭命令が出されます。出頭命令を無視したら逮捕のリスクがありますので、基本的は出頭命令に応じる方向で日程調整を行いましょう。

    2. ② 警察での取り調べ
      出頭命令で指定された日時に警察署に出頭します。警察署では、取調室に案内されて、嫌疑をかけられている事件についての取り調べが行われます。

    3. ③ 逮捕または在宅事件として捜査継続
      警察での取り調べの結果、嫌疑が晴れればそのまま帰宅することができます。また、嫌疑が深まったとしても、逃亡または証拠隠滅のおそれがなければ、逮捕には至らず、在宅事件として捜査が進みます。在宅事件となった場合、今後も必要に応じて出頭命令が出されますので、無視せず対応するようにしてください。

      これに対して、取り調べの結果、犯罪の嫌疑が深まり、逃亡または証拠隠滅のおそれがあるという場合にはその場で逮捕されることもあります。逮捕後、勾留による身柄拘束がなされると最大で23日間も拘束されることもありますので注意が必要です
  2. (2)出頭命令に応じる際の注意点

    捜査機関から出頭命令をされた場合、以下の点に注意しながら対応しましょう。

    1. ① 対応に不安があるときは弁護士に相談する
      捜査機関から出頭命令があると、どのように対応すればよいかわからず不安な方も多いでしょう。そのような場合は、警察署に出頭する前に、一度弁護士に相談することをおすすめします。弁護士からは、出頭命令に応じた後の流れや対処法などのアドバイスを受けられますので、不安なく警察署に出頭できるはずです。

      また、事前に弁護士に相談をしておけば、万が一逮捕されたときも迅速に面会にきてもらうことができます。

    2. ② 話したくない内容は黙秘することができる
      事情聴取を受ける人には、黙秘権が保障されていますので、話したくないことは話す必要はありません。黙秘をしたからといって、そのことを理由に不利益が生じることもありませんのでご安心ください。

    3. ③ 供述調書の内容をよく確認してから署名・押印をする
      取り調べの内容は、調書にまとめられて本人に対して署名押印を求められます。供述調書は、後の裁判の証拠になる重要なものになりますので、内容をしっかりと確認してから署名・押印に応じてください。

      供述調書の内容に誤りやニュアンスの違いなどがあるようであれば訂正を求めるようにしましょう。
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4、逮捕される可能性を下げるためにできること

出頭命令が出たということは、今後の捜査によっては逮捕される可能性もあるということです。逮捕される可能性を少しでも下げるためにも、以下のような対処法を検討しましょう。

  1. (1)出頭命令に応じ、捜査に協力する

    捜査機関から出頭命令が出たら、無視するのではなく出頭命令に応じることが大切です。出頭命令を拒否すると、逮捕されるリスクが高まりますので、よほどの事情がない限りは、指定された日時に警察署に出頭した方がよいでしょう。

    また、出頭命令が出されたとしても、取り調べで協力的な姿勢を示していれば、身柄事件ではなく在宅事件として処理してもらえる可能性もあります。

  2. (2)事前に被害者との示談を済ませる

    被害者がいる犯罪であれば、被害者と示談を成立させることで逮捕のリスクを下げることができます。また、被害者と示談が成立していれば、不起訴処分を獲得できる可能性もありますので、前科が付くのを回避することもできます

    捜査機関から出頭命令があり、自分が犯した罪に心当たりがあるときは、被害者との示談交渉を進めていくとよいでしょう。

  3. (3)弁護士に相談する

    弁護士は、被害者との示談交渉を代行し、もし逮捕されてしまった場合でも早期の身柄釈放に向けて迅速に動きます。

    被疑者が直接、被害者と示談交渉をしようとしてもかえってトラブルになりかねませんが、弁護士が窓口となって対応することで、示談がスムーズに進む可能性が高くなります。

    また、弁護士であれば、被害者の連絡先がわからないという事案であっても捜査機関を通じて被害者と連絡を取れる可能性があります。逮捕を回避するためにも、早めに弁護士に相談することが重要といえるでしょう

5、まとめ

捜査機関からの出頭命令に応じる義務はありませんが、出頭命令を無視すると逮捕のリスクが高くなります。そのため、基本的には出頭命令に応じて捜査に協力することをおすすめします。

ただし、取り調べにあたってはいくつか注意すべきポイントもありますので、警察に出頭する前に弁護士に相談してアドバイスを受けておくとよいでしょう。警察から出頭命令が出てお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 甲府オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています