逮捕された家族と面会する方法は? 日時や回数、手続きを解説
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令和4年に山梨県内の検察庁が受理した刑事事件(交通事犯を除く)のうち、逮捕された状態で送致された人員は479人でした。 そのうち、460人は勾留されて身柄拘束が続いています。
通常、逮捕による身柄拘束は最大72時間ですが、統計からわかるように、ほとんどの場合、逮捕後に勾留されて身柄拘束が長期化する傾向があります。家族など身近な方が逮捕された場合、面会は可能なのか、いつ釈放されるのかなど、不安が尽きないのではないでしょうか。
逮捕されて身柄を拘束されている方との面会は、その方がどの段階の手続きにあるかによって制約があります。本コラムでは、逮捕された方との面会の方法や制約について、ベリーベスト法律事務所 甲府オフィスの弁護士が詳しく解説します。
1、逮捕された家族とはいつから面会できる?
逮捕された方との面会はいつから可能になるのか、また面会の方法について解説します。
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(1)逮捕後の身柄拘束の流れ
面会が可能になるタイミングについて解説する前に、まずは逮捕後の身柄拘束の流れを確認しましょう。
逮捕された場合、警察では最大48時間の取り調べが行われ、その後、さらに取り調べが必要と判断されると、事件が検察庁に送致されます。
検察庁では最大24時間の取り調べが行われ、合計で最大72時間、逮捕による身柄拘束が続きます。
事件が検察庁に送致されて、検察官が引き続き身柄拘束が必要と判断すると、裁判所に勾留請求がなされます。
裁判所が勾留請求を認めると、最大10日間の勾留による身柄拘束に移行します。
この勾留期間中に本格的な捜査が進行し、さらに身柄拘束を続ける必要があると判断された場合は、最大10日間、勾留期間が延長されることがあります。勾留による身柄拘束期間は、最大で20日間です。 -
(2)面会が可能になるのは勾留が決定してから
逮捕後の最大72時間は、限られた時間で集中して捜査が行われるため、家族など一般の方は面会することができません。
面会が可能になるのは、裁判所が勾留を決定した後、つまり逮捕からおよそ4日目以降になります。
ただし、逮捕された方には、弁護士と接見する権利が法律で保障されているため、逮捕直後から弁護士との接見は可能です。
すでに正式に弁護を依頼している弁護人だけでなく、これから依頼しようとする弁護士でも、時間などの制約なく自由に接見することができます。
2、面会できる場所や日時、回数、人数は?
勾留されることが決まると、弁護士以外の方も面会が可能になりますが、さまざまなルールや制限があります。
一般の方が面会する際のルールや制限について解説します。
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(1)面会の場所
面会は、逮捕された方が収容されている警察署の面会室で行います。
通常は事件を捜査している警察署が収容場所になりますが、共犯者がいる場合は、複数の警察署に分散して収容されることが多く、遠方の警察署に収容されることもあります。 -
(2)面会可能な日時・時間
面会受付時間は、土日祝日を除いた平日のおおむね午前9時から午後4時までとされています。
ただし、取り調べなど捜査の都合により面会できない場合もあるので、事前に警察署へ電話で確認することをおすすめします。
面会時間は15分程度とされるのが一般的です。
なお、弁護士は日時や時間の制限はなく、休日や早朝、夜間の接見も可能です。 -
(3)面会可能な人数・回数
面会できる回数や、同時に面会できる人数にも制限があります。
警察署によって若干の違いはありますが、1日に面会できるのは、逮捕された方ごとに1組(同時に3名まで)のみです。
友人などが先に面会をした日は、家族の方が面会できないので、注意が必要です。
また、以下のような遵守事項が定められています。- 録音機、カメラ、スマートフォン、パソコンなどの使用は禁止
- 外国語で話す場合は事前の許可が必要
- 着衣や持ち物の検査が行われ、持ち物が預かりになる可能性がある
- 直接金品の授受は禁止
- その他、職員の指示に従うこと
なお、弁護士の場合は接見回数や接見時間に制限はありません。
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(4)立会人の有無
面会室には、留置担当の警察官が立ち会い、会話の内容を記録されますので、事件内容についての会話は、証拠隠滅を防ぐために制限されることもあります。
弁護士の接見では、警察官の立ち会いはなく、会話内容が警察に知られることはありません。
そのため、捜査に関するアドバイスや家族への伝言など、自由に話すことができます。 -
(5)面会の申し込み方法
面会の申し込みは、警察署内の留置担当の窓口で行います。その際、認印と身分証明書が必要になります。
なお、先に面会者がいた場合や捜査の都合で面会できないこともあるので、事前に電話で面会が可能か確認したほうがよいでしょう。
お問い合わせください。
3、家族が逮捕された場合に知っておきたいこと
ご家族など身近な方が逮捕された場合に知っておきたいことについて解説します。
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(1)逮捕後の刑事手続きの流れ
逮捕された場合、刑事手続きは以下のようなプロセスで進行します。
① 逮捕・勾留
逮捕・勾留された場合、最大23日間の身柄拘束期間があり、取り調べなどの捜査が行われます。
この期間は、重い刑事処分を避けるために、被害者への弁償や示談交渉など有効な弁護活動を行うためにも重要な期間となります。
② 起訴・不起訴の処分
勾留の満期までに、検察官は収集された証拠を検討して、以下のいずれかの処分を決定します。- 不起訴処分:起訴せずに刑事手続きを終了させる
- 略式命令請求:書面審理により100万円以下の罰金・科料による処罰を求める
- 公判請求:刑事裁判による処罰を求める
不起訴処分または略式命令請求になった場合は、身柄が解放されます。
また、処分保留のままいったん釈放されて、後日、最終的な処分が決定されることもあります。
③ 刑事裁判
勾留された状態で公判請求されると、被疑者勾留から被告人勾留に移行して、身柄拘束されたまま刑事裁判を受けることになります。
勾留期間は起訴から2か月で、その後は1か月ごとに更新され、通常は刑事裁判の判決までの数か月間、身柄拘束が続きます。
なお、懲役刑や禁錮刑の実刑判決を受けた場合、判決後も勾留されることになります。 -
(2)接見等禁止決定により面会や差し入れができないこともある
勾留が決定される際に、証拠隠滅の可能性があると判断された場合、面会や差し入れを禁止する処分(接見等禁止決定)がされることがあります。
接見等禁止決定がされると、弁護士以外の人との面会ができなくなり、差し入れできる物品も制限されます。
なお、証拠隠滅の手助けをするおそれがない家族であれば、面会の禁止を一部解除してもらえる可能性があります。
接見禁止一部解除の申し出は、勾留の判断をした裁判所に書類を提出して行うことができます。 -
(3)差し入れできる物品
勾留されることになって家族の面会が可能になると、差し入れもできるようになります。
差し入れが可能な物品は以下のとおりです。- 現金
- 衣類(ひもやベルトがないもの)
- 書籍・雑誌
- 写真・手紙
- 便箋・ノート
- 眼鏡・コンタクトレンズ
留置場では、洗面道具など身の回り品やお菓子、文房具などを自費で購入することもできるので、現金を用意しておき、足りないようであれば差し入れすると喜ばれるでしょう。
差し入れする物品は留置担当の警察官に検査され、書籍や手紙の内容もすべて確認されます。
何を差し入れすればいいのか分からない場合は、弁護士のアドバイスを受けるといいでしょう。 -
(4)刑事弁護における家族の役割
逮捕・勾留された以降は、早期釈放を目指し、不当に重い刑事処分を避ける弁護活動が重要になります。
特に、被害弁償や示談交渉のための資金の用意や、釈放後の指導監督体制の整備には、ご家族の協力が不可欠です。
刑事裁判になった場合は、情状証人として再犯防止のために協力することを証言することもあります。
なお、刑事事件で被疑者とされた方は、いつでも弁護人を選任して弁護を依頼することができますが、本人と一定の関係がある方も弁護人を選任することが可能です。
本人以外で弁護人を選任できるのは、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族(親、子、祖父母など)および兄弟姉妹とされています。
内縁関係など、弁護人を選任できない方でも、本人と面会して弁護人に選任してもらう方法があります。
4、家族が逮捕された場合に弁護士に相談するメリット
家族が逮捕された場合、できるだけ早期に弁護士に相談し、弁護活動を依頼することをおすすめします。
弁護士に相談するメリットを具体的に解説します。
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(1)弁護士は逮捕直後から面会や差し入れが可能
逮捕された方と弁護士以外の方が面会できるのは、逮捕されて約4日後となりますが、それまでの間、逮捕された方との連絡は一切不可能になります。
さらに、接見等禁止決定が出された場合、最大で23日間、弁護士以外との面会が禁止されます。
しかし、弁護士であれば、逮捕直後から逮捕された方と面会し、差し入れを行うことができるので、弁護士を通じてご家族などからの連絡や差し入れが可能です。
また、弁護士が面会することで、取り調べを受けるに当たってのアドバイスや精神的なサポートを提供することもできます。 -
(2)被害弁償や示談交渉などの弁護活動
被害者がいる事件、たとえば窃盗や傷害事件では、被害弁償や示談の有無が刑事処分に大きく影響します。
不起訴処分を受けて処罰を免れたり、重い処罰を避けたりするためにも、早期に被害弁償や示談を行うことが重要です。
加害者本人やその家族が直接被害者と交渉することも不可能ではありませんが、証拠隠滅や被害者への威迫と受け取られるリスクがあります。
弁護士は、被害者の心情に配慮した交渉を行う経験と知識を持っており、適切な金額での示談や刑事責任を軽減する示談書の作成を実現できる可能性があります。 -
(3)身柄の早期解放に向けた弁護活動
裁判所が勾留や勾留延長を決定した場合、不服を申し立てることが可能です。
また、検察官に働きかけて、勾留や勾留延長の見送りを求めることもできます。
事件の内容によっては、勾留されたまま起訴されることが避けられない場合もありますが、有利な証拠を早期に集め、保釈による身柄の解放を目指すことも考えられます。
これらの活動は、身柄を拘束された本人が行うことは困難であり、法律知識も必要とされるため、早期に弁護士に依頼することをおすすめします。
5、まとめ
刑事事件で逮捕された場合、最大で72時間は弁護士以外の方との面会はできません。
また、家族など一般の方が面会できるのは、警察署の開庁時間に限られ、回数は1日1回、時間も15分程度とされるなどの制約もあります。
一方、弁護士であれば、面会に関する制約がなく、逮捕直後から面会や差し入れが可能で、すぐに弁護活動に着手することも可能です。
逮捕された方が被害弁償や示談を行うことは困難なため、身柄解放に向けた弁護活動を早期に開始することでより効果的になります。
刑事事件を起こして逮捕されそうな場合や逮捕されてしまった場合は、すぐに弁護士に相談されることをおすすめします。
ご家族など身近な方が逮捕されてしまい、面会ができずに困っておられる場合は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士が全力でサポートいたします。
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