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余罪とは? 発覚するケース・量刑に及ぼす影響・立件後の流れ

2022年05月30日
  • その他
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余罪とは? 発覚するケース・量刑に及ぼす影響・立件後の流れ

甲府市の統計によると、令和3年中における甲府市内の刑法犯認知件数は790件で、前年比95件の減少となりました。また、山梨県内の刑法犯認知件数は2748件で、前年比380件の減少となりました。

先に捜査機関によって捜査が開始された「本罪」とは別に、取り調べなどの中で「余罪」が発覚するケースがあります。余罪が発覚し、本罪と併せて起訴された場合、刑事裁判における量刑が単独の罪と比べて非常に重くなってしまう可能性がありますので、速やかに弁護士に相談して対応をご検討ください。

この記事では、余罪が発覚するきっかけ・余罪が量刑に及ぼす影響・余罪立件後の流れなどについて、ベリーベスト法律事務所 甲府オフィスの弁護士が解説します。

(出典:「山梨の犯罪1~令和3年中の概況~」(山梨県警察))

1、余罪とは?

「余罪」とは、捜査機関(警察・検察)において捜査が行われている犯罪(本罪)に対して、同一の被疑者が犯したと疑われる別の犯罪を意味します

たとえば、A店での万引きの被疑事実で逮捕された被疑者について、捜査を進めていたところ、新たにBに対する詐欺の疑いが生じたとします。

この場合、A店での万引きが「本罪」であるのに対して、Bに対する詐欺が「余罪」に当たります。

2、余罪が発覚するきっかけは?

余罪が捜査機関に対して発覚するきっかけには、さまざまなパターンがあります。
その中でも、余罪発覚のきっかけとしてよく見られるパターンは、以下のとおりです。

  1. (1)警察・検察による捜査・取り調べ

    捜査機関が本罪についての捜査を行う一環として、関係者への聞き込みや現場調査などを行う中で、余罪の疑いが生じるケースがあります。

    また、被疑者に対して本罪の取り調べを行っていたところ、余罪を自白し、またはほのめかすような供述が得られることもあります。(なお、余罪取り調べを目的として本罪について逮捕・勾留を行うことは、別件逮捕に当たり違法です)。

    このように、警察・検察による捜査・取り調べの中で余罪が発覚するケースは非常に多いです。

  2. (2)共犯者による自白

    強盗の指示役・実行役・見張り役、振り込め詐欺の首謀者と受け子・出し子など、犯人が複数いる余罪については、共犯者による自白から判明することがよくあります。

    共犯者としては、自白によって刑罰が軽くなる可能性があります。さらに、共犯者の存在を暴露したうえで「自分は主犯格ではない」という主張を行い、いっそう刑を軽く済まそうとする動機付けも十分です。

    このような事情から、自分以外に共犯者がいる場合には、早晩共犯者の自白によって余罪が発覚する可能性が高いでしょう

  3. (3)被害者が提出する被害届

    本罪が発覚した後に、本罪とは別の被害者から被害届が提出され、余罪が発覚するパターンも考えられます。

    特に、社会的に耳目を引くような犯罪の場合には、報道機関による報道を見て被害に気付き、時間がたってから被害届を提出する被害者が登場する可能性もあります。
    この場合、本罪とは時間差で余罪が判明することも十分あり得るでしょう。

3、余罪は量刑にどのような影響を及ぼすか?

本罪が起訴されている状況で余罪が立件された場合、量刑にはどのような影響が生じるのでしょうか。
この点、余罪が起訴された場合と、そうでない場合とで考え方が異なります。

  1. (1)余罪で起訴された場合|本罪との併合罪として処罰される

    本罪と併せて余罪も起訴された場合には、本罪と余罪は「併合罪」として処罰されます(刑法第45条)。

    併合罪の場合、最長でもっとも重い罪の法定刑の長期を1.5倍した期間が法定刑の上限となります。

    ただし、併合罪を構成するすべての罪の法定刑の長期を合計した期間を超えることはできません(刑法第47条)。

    【併合罪の例】
    ● 詐欺罪(10年以下の懲役)+詐欺罪(10年以下の懲役)
    →15年以下の懲役
    ● 詐欺罪(10年以下の懲役)+脅迫罪(2年以下の懲役)
    →12年以下の懲役


    なお、法律上は別々の罪と考えられるものの、犯罪の態様などから1つの罪と同じ量刑で処罰される場合があります。

    例えば、1個の行為で2個の罪名に触れてしまうような場合は、観念的競合といって、1つの罪と同じ量刑で処罰されます(刑法第54項1項前段)。また、数個の行為があっても、犯罪の手段もしくは結果である行為が他の罪名に触れてしまうような場合は、牽連犯(けんれんはん)といって、1つの罪と同じ量刑で処罰されます(刑法第54項1項後段)。

    牽連犯の代表例は、空き巣です。空き巣は、住居侵入罪(刑法第130条)と窃盗罪(刑法第235条)の両方の罪名に触れますが、住居侵入が窃盗を行うための手段となっていますので、牽連犯とされます。この場合、最も重い罪を1罪として処罰されます。

  2. (2)余罪では起訴されていない場合|量刑への影響は限定的

    これに対して、本罪のみが起訴され、余罪では起訴されなかった場合には、実質的に余罪を処罰する趣旨で量刑を加重することは認められません。

    なお、被告人の性格・経歴・犯罪の動機・目的・方法などの情状を推知するために、余罪に関する事実を量刑事情として考慮することは認められると解されます。

    とはいえ、起訴されていない余罪の処罰を禁止する法律の大原則からすると、情状事実として余罪が過大評価される可能性は低く、大きく量刑が加重されることは考えにくいでしょう。

4、余罪が立件された場合の手続きの流れは?

余罪が立件(捜査開始)された場合、その後の手続きの流れとしては、大まかに以下の4パターンが考えられます。

  1. (1)パターン①|本罪と同時に起訴される

    本罪についての起訴・不起訴の判断が未了の場合には、余罪についても、本罪と併せて起訴・不起訴の判断が行われるケースが多いです。

    本罪・余罪の両方について、罪を犯したとの立証が可能だと検察官が判断した場合には、本罪と同時に余罪も起訴されることになるでしょう。

    なお、この場合、余罪についての再逮捕・再勾留を行うかどうかは、ケース・バイ・ケースとなります。本罪の逮捕・起訴前勾留期間だけで捜査を尽くせる場合は、余罪についての再逮捕・再勾留は不要でしょう。

    これに対して、余罪についての捜査を尽くす時間を追加で確保する必要がある場合には、本罪について勾留を終了したうえで、余罪について再逮捕・再勾留が行われることも考えられます。

  2. (2)パターン②|本罪の起訴後、余罪が追起訴される

    本罪についてすでに起訴されている場合には、余罪は追起訴の取り扱いになります。

    また、本罪を起訴する材料がそろった段階で余罪が発覚した場合には、ひとまず本罪の起訴を先行させて、その後に余罪の捜査を行うという判断もあり得るでしょう。

    なお、起訴後勾留の段階では保釈が認められるなど、被告人を取り調べるハードルは、被疑者段階よりも高くなります。

    そのため、本罪について起訴され、起訴後勾留が続いている状況でも、余罪について再逮捕・再勾留が行われ、被疑者段階としての取り調べがなされる可能性も十分あります。

  3. (3)パターン③|余罪は起訴されずに、本罪のみが起訴される

    余罪について捜査は行われたものの、犯罪事実の立証に十分な証拠がそろわない、または起訴に値しないと判断されることもあり得ます。

    この場合、本罪のみが起訴され、余罪は起訴されないという事態も考えられます。

    余罪についての刑事手続きは終了するものの、本罪については公判手続きへと向かうことになりますので、弁護士に相談しながら入念に準備を整えましょう。

  4. (4)パターン④|本罪も余罪も起訴されない

    証拠の集まり具合や情状などに鑑み、本罪も余罪も起訴しないという判断が行われる可能性もあります。

    この場合は、本罪・余罪の両方について刑事手続きが終了し、身柄拘束も完全に解かれることになります。

    可能であれば、起訴前の弁護活動によって、本罪・余罪の両方について不起訴を目指すことが理想です

5、本罪について釈放後に余罪が発覚した場合はどうなる?

本罪についていったん逮捕・勾留されたものの、不起訴処分によって釈放されたとします。
このような状況でも、余罪について再逮捕・再勾留される可能性は残るので注意が必要です。

  1. (1)余罪について再逮捕・再勾留される可能性あり

    刑事訴訟法上、同一の犯罪事実については一回ずつしか逮捕・勾留を認めない「再逮捕再勾留禁止の原則」が存在します。

    しかし、本罪と余罪は併合罪の関係に立ち、互いに別の犯罪に当たるため、再逮捕再勾留禁止の原則は適用されません。

    そのため、本罪について不起訴処分により釈放された場合でも、余罪について再逮捕・再勾留される可能性はあります

  2. (2)改めて不起訴に向けた弁護活動が重要になる

    本罪について不起訴処分を得たとしても、余罪について起訴されてしまえば、再び公判手続きを通じた処罰のリスクがでてきます。

    余罪に係る刑事手続きから一日も早く解放されるためには、改めて不起訴に向けた活動に注力することが大切です。弁護士に依頼すれば、余罪についての証拠不十分や良い情状などを、検察官に対して説得的に訴えることで、不起訴処分が得られる可能性が高まります。

    また、万が一余罪について起訴されてしまった場合にも、早い段階で弁護士に相談していれば、時間をかけて公判手続きの準備を整えることが可能です。

    本罪での釈放後、余罪について再逮捕・再勾留される不安がある場合には、お早めにベリーベスト法律事務所の弁護士へご相談ください。

6、まとめ

余罪は、本罪に関する捜査機関の捜査・取り調べや、共犯者の自白、被害届など、さまざまなきっかけから発覚します。

本罪と併せて余罪が起訴されてしまうと、併合罪として単独の罪と比べて重い刑罰を科される可能性があるので、弁護士に相談して不起訴に向けた活動を行いましょう

ベリーベスト法律事務所では、被疑者・被告人を一日も早く刑事手続きから解放するため、迅速・適切に弁護活動を行います。犯罪に当たる行為をしてしまい、お悩みの方や、ご家族が刑事事件を起こして逮捕・勾留されてしまった方は、直ちにベリーベスト法律事務所 甲府オフィスへご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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