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人員配置とは|目的や実施において注意すべきポイント

2023年01月12日
  • 労働問題
  • 人員配置とは
人員配置とは|目的や実施において注意すべきポイント

甲府公共職業安定所(ハローワーク)のデータによると、2020年度における管内の有効求職者数8万4173人に対して、有効求人数は9万6852人で、有効求人倍率は1.15倍でした。2018年度の1.61倍、2019年度の1.48倍よりも大幅に悪化しており、コロナ禍の影響による求人数の減少がうかがえます。

せっかく採用した社員のパフォーマンスを最大限に伸ばすには、適切な人員配置を行うことが重要です。自社の現状と客観的に必要な人員配置を比較したうえで、計画的に配置転換等を進めましょう。

今回は企業の人員配置について、方法の種類・手順・注意点などをベリーベスト法律事務所 甲府オフィスの弁護士が解説します。

参考:「令和3年版統計情報 一般職業紹介状況(甲府公共職業安定所管内)」(甲府市)

1、人員配置とは

「人員配置(人材配置)」とは、会社の経営目標を達成するために、従業員(社員)をどこの組織(部署)に属させ、どのような仕事を任せるかを決める人材マネジメントです。

会社が成長を続けるためには、適材適所の人員配置を行い、従業員の能力を効率的に活用させることが重要になります。

2、人員配置を変更する方法の種類

現状の人員配置が最適な形になっていない場合、業務上の非効率が生じてしまいます。この場合、適切な方法によって人員配置を変更しなければなりません。

人員配置を変更する方法には、以下に挙げるようにさまざまな種類があります。

  1. (1)配置転換

    人員配置を変更する方法の代表例が「配置転換」です。配置転換とは、従業員の所属部署や業務内容を変更することをいいます。

    配置転換が行われるのは、現在の部署や業務が従業員の適性にマッチしていない場合や、退職等により一部の部署に人手不足が生じた場合などです。いずれの場合も、配置転換の対象者を選定するうえで、従業員の適性をきちんと見極める必要があります。

  2. (2)新規採用

    従業員を新規に採用する場合、必然的に人員配置の変更が発生します。新規採用に関する人員配置の方針は、新卒採用・未経験者採用の場合と、経験者向けの中途採用(いわゆる「ジョブ型採用」)の場合で異なります。

    新卒採用や未経験者採用の場合、指導担当を配置して密に指導を行ったり、ローテーションを組んで広く仕事を知ってもらったりする工夫が必要です。

    これに対して、ジョブ型採用は即戦力を前提として行われるため、短期間の導入を経た後は、既存従業員とほぼ同等とみなして人員配置を行うことになります。

  3. (3)昇進

    特定の従業員を昇進させることも、人員配置を変更する方法のひとつです。昇進は従業員のモチベーションアップにつながるほか、管理職の若年齢化・新陳代謝を促す効果もあります。

    昇進させる従業員を選定するに当たっては、日頃の業務を含めた丁寧な人事評価を行うことが必要です。

  4. (4)雇用形態の変更

    アルバイト・パートから正社員へ登用したり、正社員から契約社員に移ってもらったりする雇用形態の変更も、人員配置を変更する方法の一つに当たります。

    アルバイト・パートから正社員への登用は、従業員の雇用を安定させるため、仕事のモチベーションアップにつながるでしょう。

    一方、正社員から契約社員に移ってもらうことは、従業員の同意がなければできません。会社が一方的に正社員から契約社員へ変更することは、法的には解雇に当たり、厳しい要件が適用されるので要注意です。

  5. (5)雇い止め・解雇

    有期雇用労働者(契約社員)との労働契約を期間満了時に更新しないことを「雇い止め」、無期雇用労働者(正社員)との労働契約を会社が一方的に打ち切ることを「解雇」といいます。

    雇い止めと解雇は、いずれも人員配置を変更する方法のひとつです。人件費の削減や、問題のある従業員を追い出すなどの目的で、雇い止めや解雇が行われることがあります。

    ただし、雇い止めには「無期転換ルール」(労働契約法第18条)と「雇い止め法理」(同法第19条)、解雇には「解雇権濫用の法理」(同法第16条)が適用され、無制限に認められるわけではありません。

    特に解雇の要件は厳しく、会社による一方的な解雇が適法と認められるケースはきわめて少ない点にご注意ください

3、最適な人員配置を行うための手順

社内における人員配置を最適化するためには、以下の手順で配置転換等を行いましょう。

  1. (1)現在の人員配置を正確に把握する

    まずは、現在の人員配置の状況を正確に把握することが必要不可欠です。各部署に所属する従業員の人数・役職・能力・性格などをリスト化して、できる限り網羅的に把握します。

    現在の人員配置を適切に把握することは、配置転換等を行う際の異動候補者を選定する際にも役立ちます。

  2. (2)各部署において必要な人員数・職能を把握する

    続いて、配置転換等を必要としている部署をピックアップするため、各部署の業務内容や人員のひっ迫度などを勘案して、必要な従業員数と求められる職能を把握します。これは「要員計画(人員計画)」とも呼ばれる重要な作業です。

    明らかに人員が足りていない部署や、必要な職能を持った従業員が所属していない部署については、配置転換等によって適切な人員を割り当てなければなりません。

  3. (3)異動候補者に対してヒアリングを行う

    配置転換等によって異動させる従業員の人物像が定まったら、それに当てはまる従業員を複数人リストアップしましょう。そして、現在の部署におけるポジションや重要度などを考慮して、配置転換等に適しているかどうかを判断し、異動候補者を絞り込んでいきます。

    異動候補者が定まったら、対象の従業員に対して配置転換等を打診し、その意見をヒアリングします。配置転換等についてポジティブな反応が得られた場合には、異動先の部署におけるサポート役を手配するなど、スムーズに配置転換等を行うための準備を整えましょう。

  4. (4)配置転換等を実施する

    対象者が確定し、異動先の部署における受け入れ態勢が整ったら、配置転換等を実施します。

    異動してきた従業員は、当初は仕事や周囲の同僚になじめないことがあるかもしれません。そのため、人事部門や部署全体でサポート体制を構築することが大切です。
    OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)やカウンセリングの仕組みなどを整備して、従業員がスムーズに配置転換等へ対応できるように取り計らいましょう。

  5. (5)配置転換等の効果を検証・分析する

    配置転換等を実施してから一定の期間がたった段階で、その効果を検証・分析することは、今後の配置転換等を行うに当たって大いに参考となります。

    検証・分析のアプローチは、数値データによって評価する定量的なアプローチと、数値以外の要素によって評価する定性的なアプローチの2つに大別されます。

    定量的なアプローチには、売上や残業時間などの客観的な数値データを用います。一方、定性的なアプローチを行う方法としては、従業員向けのアンケート調査などが選択肢となるでしょう。検証・分析をしたい効果の種類に応じて、適切なアプローチを行うことが大切です。

4、人員配置に関して企業が注意すべきポイント

企業が人員配置を行うに当たって、トラブルを避けるため、以下の2点には特に注意すべきです。

  1. (1)できる限り従業員の希望を尊重すべき

    配置転換等を行うに当たっては、できる限り従業員の希望を尊重することが望ましいです。

    従業員の希望を無視して配置転換等を行うと、モチベーションの低下や離職を招いたり、配置転換等の有効性を巡ってトラブルになったりするおそれがあります。

    異動候補者を最初から1人に絞るのではなく、複数の異動候補者を選定して、その中から前向きな返事を得られた人につき配置転換等を行うのが賢明です

  2. (2)労働契約上の配置転換の範囲を要確認

    法律・契約の観点からは、会社が従業員の同意なく配置転換等を行うことも可能です。ただし、配置転換等を命ずることができるのは、労働契約で定められた人事権の範囲内に限られます。

    たとえば、転勤がない旨が明記された労働契約なのに、転勤を伴う配置転換等を一方的に命ずることはできません。また、特定の専門職に従事することを前提とした雇用した従業員については、それ以外の職種への配置転換等が禁止されていると解される可能性が高いです。

    人事権の範囲を逸脱した配置転換等は無効であり、従業員から指摘・反論された場合には、人材配置の見直しを迫られます。このような事態が生じないように、実際に配置転換等を行う前の段階で、労働契約上認められる配置転換等の範囲を確認しておきましょう。

5、まとめ

社内における人員配置を最適化することは、会社全体の生産性を高めるうえで非常に重要です。配置転換をはじめとする各種の方法を活用して、適材適所の人員配置を行うように努めましょう。

人員配置を行うに当たっては、労働契約上の人事権の範囲を確認することも大切です。特に従業員の同意なく配置転換等を行う場合は、人事権の範囲を踏まえて適切に対応するため、事前に弁護士へのご相談をお勧めいたします。

従業員の配置転換等に関するお悩みは、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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