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相続登記の義務化はいつから? 罰則や期限など知っておくべきこと

2021年12月01日
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相続登記の義務化はいつから? 罰則や期限など知っておくべきこと

甲府市の統計によると、令和元年中の甲府市内における死亡者数は2390人でした。これに対して出生者数は1294人であり、同年は1096人の減少となっています。

身内の死去に伴い発生するのが相続問題です。2021年4月21日に、「民法等の一部を改正する法律」および「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が国会で可決成立し、2024年4月28日までに不動産登記法が改正されて相続登記(相続に伴う所有権移転登記)が義務化されることが決まっています。

すでに相続した不動産の相続登記が未了の方や、これから相続を経験する方は、相続登記義務化に関するルールの変更内容を理解しておくことが望ましいでしょう。なお、上記法律によって改正される不動産登記法を、ここでは改正不動産登記法と呼ぶことにします。

この記事では、相続登記義務化の背景・開始時期・手続きなどについて、ベリーベスト法律事務所 甲府オフィスの弁護士が解説します。

(出典:「甲府市統計書 令和2年版」(甲府市))

1、相続登記はなぜ義務化される? 所有者不明土地に関するリスクとは

相続登記が義務化されるのは、所有者不明土地に関する問題が深刻化している事情が背景に存在します。

所有者不明土地とは、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地や、所有者の所在が不明で連絡がつかない土地のことです。

土地を有効活用する観点からは、活用されていない所有者不明土地を、国・自治体・民間事業者などが収用または買い上げを行って活用することが期待されます。しかし、土地の所有者と連絡がつかない場合、土地の収用の手続きや買い上げの交渉が進まず、結果的に土地の活用を断念せざるを得ない可能性が高くなります。

このように、公共事業や復旧・復興事業、さらに民間取引等による土地の利用を阻害する点が、所有者不明土地の最大の問題点といえます。また、その他にも、所有者不明土地が管理不全化し、隣接する土地への悪影響の発生という問題もあります。

そして、所有者不明土地の3分の2程度が、相続登記の未了に起因して発生しているため、相続登記の義務化による問題解消が図られたのです。

(参考:「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し【民法等一部改正法・相続土地国庫帰属法の概要】」(法務省))

2、相続登記の義務化はいつから施行される?

2021年4月21日に、改正不動産登記法が国会で可決・成立し、同月28日に公布されました。改正不動産登記法第76条の2第1項および第2項では、相続登記の義務が明文化されているため、改正法の施行によって相続登記の義務化がスタートすることになります。

改正不動産登記法の施行日は現状未定ですが、相続登記義務化関係の改正については、公布後3年以内の政令で定める日から施行されることになっています(「民法等の一部を改正する法律」附則1条2号)。

そのため、遅くとも2024年4月28日までには施行されることになるので、今のうちから相続登記義務化のルールを正しく理解しておくことが重要です。

3、相続登記が義務化された場合の申請期限と違反のペナルティ

相続登記が義務化された場合には、改正不動産登記法で定める期限までに、相続登記を申請しなければなりません。申請期限については、相続発生や遺産分割のタイミングなどによって変わりますので、ご自身のケースに当てはめて正しい期限を把握しましょう。

  1. (1)改正法施行前の相続|施行後3年以内

    改正不動産登記法の施行日よりも前に発生した相続についても、相続登記の義務化は適用されるので注意が必要です。

    すなわち、施行日よりも前に相続が発生していた場合であっても、施行日の時点で、すでに相続が発生したことおよび土地の不動産の所有権を取得したことの両方を知っていた場合には、施行日から3年以内に相続登記を申請する必要があります(同法第76条の2第1項前段、「民法等の一部を改正する法律」附則第5条第6項)。

    なお、不動産の所有権を取得した原因が相続ではなく遺贈による場合にも、不動産の所有権を取得したことに変わりはありませんので、同様に相続登記の義務化が適用されます(同法第76条の2第1項後段)

  2. (2)改正法施行後の相続|相続・所有権取得を知った日から3年以内

    改正不動産登記法の施行日以降に、相続が発生したことおよび土地の不動産の所有権を取得したことを知った場合には、両方を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません(同法第76条の2第1項前段)。

    なお、相続人が複数いて、遺産分割がまとまらない場合には、3年以内に相続人であることを登記官に申告することによって、相続登記を申請する義務を行ったとみなされます(同法第76条の3第1項、第2項)。ただし、遺産分割がまとまった際に、法定相続分を超えて不動産の所有権を取得した場合には、遺産分割の日から3年以内に、その内容について改めて登記申請を行う必要があります(同条第4項)。

    上記をまとめると、以下の通りとなります。

    ① 相続開始等を知った日から、3年以内に遺産分割が成立しなかった場合
    知った日から3年以内にいったん相続人であることを登記官に申告し、法定相続分を超えて不動産の所有権を取得した場合には、遺産分割の成立後3年以内にもう一度相続登記を申請する(法定相続分を超えずに不動産の所有権を取得した場合にはもう一度相続登記を申請する必要はない)

    ② 相続開始等を知った日から、3年以内に遺産分割が成立した場合
    知った日から3年以内に、遺産分割の内容にしたがった相続登記を申請すれば足りる(知った日から3年以内にいったん相続登記を申請し、その後遺産分割によって法定相続分を超えて不動産の所有権を取得した場合に、遺産分割の成立後3年以内にもう一度相続登記を申請することも可、法定相続分を超えずに不動産の所有権を取得した場合にはもう一度相続登記を申請する必要はない)
  3. (3)違反した場合は過料が科される可能性がある

    正当な理由がないのに、相続登記を申請する義務に違反した場合には、10万円以下の過料に処される可能性があるので注意が必要です(改正不動産登記法第164条第1項)

    なお、相続登記を怠ってしまう背景にはさまざまな事情があると考えられます。そのため、個別事情を丁寧にくむ観点から、正当な理由の具体的な類型は通達等で明確化される予定となっています。

    詳細な取り扱いは現時点で未定ですが、以下のようなケースでは、期間内に相続登記ができない正当な理由があるものとして、過料の制裁の対象外になる可能性が高いでしょう。

    • 数次相続が発生して相続人が極めて多数に上り、資料の収集や相続人の把握に時間がかかる場合
    • 遺言の有効性や遺産の範囲などが争われている場合
    • 申請義務を負う相続人が重病にかかっているなど、相続登記を申請することが困難な状態にある場合


    しかし、一般的な相続・遺贈のケースであれば、相続登記の義務化が通常どおり適用されるため、過料の制裁を受けないためにも、相続が発生したことおよび土地の不動産の所有権を取得したことの両方を知った日から3年以内という期限内の相続登記の申請を行いましょう。

  4. (4)氏名や住所が変わった際の登記義務化

    相続登記の義務化の外にも、所有権の登記名義人の氏名や住所に変更があった場合には、変更があった日から2年以内に、氏名や住所の変更登記を申請する必要があります(改正不動産法第76条の5第1項、第2項)。これに違反した場合には、5万円以下の過料に処される可能性があるので注意が必要です(改正不動産登記法第164条第2項)。

4、相続未登記不動産を相続した場合の対処法は?

親などから相続した不動産について、さらに先代からの相続登記が未了であった場合には、速やかに相続登記を申請する必要があります。相続登記を行う義務が親から承継され、前述の過料の制裁を受ける可能性があるためです。

しかし、相続登記の申請は準備に手間がかかるため、なかなか手をつけられないでいる方もいらっしゃるのではないでしょうかそのような場合は、改正不動産登記法で新設される「相続人申告登記」の制度を利用しましょう

「相続人申告登記」とは、以下の2点を登記官に申し出ることにより、相続登記の申請義務を行ったものとみなす制度です(改正不動産登記法第76条の3第1項、第2項)。

  • 不動産の所有権の登記名義人について相続が開始した旨
  • 自らが登記名義人の相続人である旨


相続人申告登記は、通常の相続登記よりもかなり手続きが簡略化される見込みですので、相続登記が面倒だという方は、ぜひ活用をご検討ください。

5、相続登記を弁護士に依頼するメリット

相続登記は、司法書士が取り扱う分野として知られていますが、弁護士も対応することが可能です。

むしろ、最初から弁護士に相談しておく方が、相続に関する幅広い問題を相談できるため、メリットが大きいと考えられます。

  1. (1)遺産分割を含めた幅広い問題を相談できる

    弁護士の特長は、相続人同士で揉めてしまっている遺産分割の問題を解決できる点にあります。時には相続人の間に入り、法的な論点を整理したうえでトラブル解決に向けたかじ取りを行うことは、弁護士にしかできない仕事です。

    弁護士は、遺産分割に直接介入できるという強みをいかして、相続に関する幅広い相談に対応することができます。

  2. (2)税理士との連携により税務相談も可能

    相続の局面では、相続税申告などとの関係で、税務に関する処理が必要になる場合もあります。したがって、相続について専門家に相談する際には、税務に関してもワンストップで相談できると便利でしょう。

    自ら税理士業務を行う弁護士は少数派ですが、相続業務に関しては多くの場合、税理士と連携して対応を行います。そのため、法的な問題の解決に加えて、相続税申告などを含めた総合的なサポートを受けられる点も、弁護士に相談するメリットのひとつです。

    ベリーベスト法律事務所では、弁護士がグループの税理士と緊密に連携をとり、円滑な相続をサポートしますお客さまのご負担を軽減しながら、納得いただける解決に向けて尽力しますので、まずはお気軽にご相談ください

6、まとめ

相続登記を義務化する改正不動産登記法は、2024年4月28日までに施行される予定となっています。詳細は今後制定される政令等による部分が大きいので、今後の法改正の動向をチェックしましょう。

相続登記が義務化された場合、相続が発生したことおよび土地の不動産の所有権を取得したことの両方を知った日から3年以内に、相続登記の申請を行わなければなりません。改正不動産登記法では、新たに「相続人申告登記」の制度が設けられ、相続登記の申請手続きが簡略化されます。相続登記の申請が面倒だという方も、「相続人申告登記」の制度を適宜活用して、速やかに手続きを行いましょう。

ベリーベスト法律事務所 甲府オフィスでは、相続登記の手続きを含めて、相続に関するお悩みのご相談を随時受け付けております。ご家庭ごとにさまざまなご事情がある中で、円滑・円満に遺産分割を完了するため、総合的な観点から解決策をアドバイスいたします。

相続手続きへの対応にお悩みの方、遺産分割について他の相続人と揉めてしまっている方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 甲府オフィスへご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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